「解放新聞」(2020.12.25-2975)
【高知、中国・四国ブロック編集協力員】 部落解放地方共闘四国ブロック交流集会が11月14、15日、高知市内でひらかれ四国4県37人が参加した。部落解放高知県共闘会議の中野勇人・事務局長の進行で開会。部落解放四国ブロック共闘会議の大原英記・議長(愛媛県)が主催者あいさつ、高知県連から有澤明男・委員長が地元歓迎あいさつをおこなった。
大原議長はあいさつで「コロナ禍のなか、四国4県から参加いただいた。9月16日に安倍内閣が総辞職した。「集団的自衛権」行使容認、「戦争法」「特定秘密法」「共謀罪」を制定し、戦争ができる国にするなど負の遺産はあまりにも大きい。憲法と立憲主義は崩壊した。この安倍政治を継承した菅政権は反省もせずに憲法改悪をもくろんでいる。説明責任を果たさない権力の私物化、政治腐敗を危惧するのは私だけではない。21世紀は人権・平和が確立された社会を望んでいたが、世界的にも新自由主義が台頭し貧富の格差が広がっている。社会的な不公平、貧富の拡大、人権の抑圧は、テロや戦争、飢餓や犯罪、緊張を高めている。私たちのすすめる解放共闘運動が差別の撤廃や人権擁護の先導的役割を果たしてきた歴史から、さらに運動を前進させ、あらゆる差別の撤廃と人権が尊重される社会をめざしていく。そのために組織の強化、人材確保、育成が最も重要である。そして狭山事件から57年が経過した。石川一雄さんが全国各地を回って無実を訴えている。再審を求める運動に積極的にとりくんでいこう」とのべた。
来賓として、部落解放中央共闘会議の則松佳子・事務局長が連帯あいさつ。「コロナ禍のなかで解放共闘のとりくみとして、就職差別撤廃に向けたとりくみで今年は変化があり、これまで高校生が就職活動で一人1社にするとの申し合わせが複数受験も可になる。高校生の求人は限られていて1回の試験で正規採用されることが重要。コロナ禍で内定取り消しや非正規の雇い止めも増えている。私たちのとりくみは、こんなときだからこそ力を発揮させないとダメである」。
記念講演では「部落差別の現実に学び、さらなる自己解放をめざして」と題し、部落解放同盟高知市連絡協議会の谷口靖彦・事務局長が講話をおこなった。
谷口事務局長は、高校卒業まで部落外で部落差別を受けることなく育ち、卒業後は県外に就職した。営業の仕事に従事してから、社内で「あそこはあぶない」「営業をかけるな」「現金集金でなく信販会社を通せ」など、地図を見ながらの差別的な会話を目の当たりにした。父親が体調を崩して高知に帰ることとなり、高知市協の森田益子・議長(当時)を訪ね、就職先を得るとともに部落解放運動と出会った。高知市協では「仕事保障に力を入れ、生活を安定させることで子どもたちの就学、就労へとつなげ、憲法25条「生存権」を守る」とりくみをしてきた。
現在の部落差別の実態として、鳥取ループ・示現舎による「全国部落調査」復刻版出版・販売事件や「部落探訪」をはじめ戸籍等不正取得事件、個人情報売買、いまなお厳しい結婚・就職差別があり、差別禁止法や人権侵害救済法が必要だと指摘した。
最後に、「部落民としての自覚をもち、差別にたいする怒りをもちながら差別と闘うなかで心が豊かになるよう、さらなる自己改革・自己解放をめざしていきたい」と語った。
各県の活動報告がおこなわれ、初日は終了した。
2日目は、高知市内の小高坂(こだかさ)地区でのフィールドワーク。はじめに小高坂市民会館で、小高坂支部の須藤米子さんから地区や支部の歴史について説明を受け、西川完治さんら青年部の案内で2班にわかれて地区内をまわった。
西川さんは、「フィールドワークははじめての経験で、この日のために地域の歴史や支部について支部長や須藤さんから学んだ。今度は私たちが子や孫に誇りをもって伝えていきたい」と語ってくれた。来年は徳島県で開催予定。
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