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21年度の要求実現へ 〜神奈川県と行政交渉
神奈川

「解放新聞」(2021.01.25-2978)

 【神奈川支局】 神奈川県連は、昨年10月6日に神奈川県に提出している2021年度部落解放施策推進要求書をもとに11月18日、横浜市開港記念会館会議室で神奈川県との交渉をおこなった。県からは川名勝義・福祉子どもみらい局副局長はじめ行政・教育関係者が、県連からは根本信一・委員長をはじめ県連役員が、それぞれ出席。はじめに県の担当者が要求書にたいし口頭で回答後、質疑応答をおこなった。

部落差別は現存異例の回答訂正

 ①県は当初、部落差別の現状について「まだ差別が解消されたとはいえない」などとしながらも、部落差別が減少傾向にあるかのような回答を示していた。これにたいし県連は▽インターネット上で差別は拡散し、生命にかかわる事件もおきている、横浜市の「市民人権意識調査」の結果をもとに、結婚などで根強い差別意識が強まる傾向にある、などの事例を示して県の姿勢を糾した。

 これを受け県は「部落差別が現在も存在している」と回答を訂正する異例の対応を示し、現状認識を共有して、差別をなくしていくためとりくむ姿勢を明らかにした。

 ②県主導で設置され、被差別部落出身者を対象に生活相談活動をしてきた神奈川県地域相談連絡協議会について県連は、「推進法」にもとづき相談活動以外の教育・啓発事業をおこなうには、団体間でも意見が違っており、協議会の名称と仕組みを変え、新たな仕組みを検討すべきだと訴えた。これにたいし県は現状では継続できないことを認め、検討課題にすると回答した。

モニタリングで意見交換の場も

 ③今後の教育・啓発事業をすすめるうえで部落差別の実態把握のため、独立した県民意識調査を横浜市のように継続して実施するよう迫ったが、県から具体的な回答はなかった。他方、県が民間に委託して実施中のインターネット上の差別書き込みなどを把握するモニタリングでは、これまで自治体に提供してきた情報を、県連の強い要求で当事者団体にもようやく提供することになった。さらに県は「今後は情報提供とともに意見交換の場を設ける」と回答。県連は共同してとりくんでいきたいと応じ、県と県内各自治体が全体でとりくむ仕組みを検討するよう要請した。

 最後に根本委員長が「率直な意見交換ができてよかった。お互いに差別をなくしていくためにどうするか話し合いを積み重ねていくことが大切だ」とのべた。県の川名副局長は「みなさんからいただいたご意見をしっかり受け止め、持ち帰って検討していきたい」と結んだ。