「解放新聞」(2021.01.25-2978)
【滋賀】 部落解放・人権政策確立要求滋賀県実行委員会は昨年12月16日、「県内のあいつぐ差別事件」をテーマに第3回人権セミナーを大津市・解放県民センター光荘でひらき、63人が参加した。田村英治・会長の開会あいさつに続き、つぎの4件が報告された。
①市内事業所喫茶コーナーに配布された差別用紙配布事件(栗東市役所)②カラオケ教室講師による差別発言事件(2969号既報。東近江市役所)③インターネットモニタリング事業のとりくみ(滋賀県人権センター。後掲の記事参照)④採用内定後の「社用紙」問題(2942号既報。滋賀県進路保障推進協議会)。
①は、2017年3月9日、栗東市の事業所喫茶コーナーで、テーブルにA3サイズの資料3枚が置かれたもの。うち1枚が県内の同和地区・地名一覧と同和地区出身者、在日韓国人とされる有名人の一覧。残り2枚は血液型の運勢や有名人の一覧だった。発見後、事業所職員が回収した。
配布者と思われるAに職員が電話で確認。面談し、Aは差別リスト作成を認め、ほかにも配布していたと判明。職員が回収に動き、市役所に報告。聞き取りの結果、「同和地区データ」は、鳥取ループ・示現舎のデータを使い、事業所の利用者に情報提供しようと作成された。差別リストを受けとった人は人権研修を受けながら問題点を指摘できなかった。Aも、学びの場があったのに誤った認識を正しいと思い込み、研修会等に参加せず、みずから学びの機会を失っていた。
【滋賀】 公益財団法人滋賀県人権センターは18年4月からインターネットモニタリング事業をはじめ、部落差別にかかわる差別書き込みを監視。第3回人権セミナーで報告した。
毎週木曜日、職員2人が1時間ずつ、あわせて2時間監視。対象は6サイト。うち3つに削除要請をしている。判断基準は部落の地名、差別語の書き込み、誹謗中傷。18年度は、書き込み933件、削除要請120件、削除件数80件(削除率64%)。19年度は書き込み527件、削除要請211件、削除件数199件(同94%)、20年度(11月現在)は書き込み349件、削除要請25件、削除件数19件(同76%)。19年度はスレッド(話題に関する投稿の集まり)全体の削除もふくむ。
差別書き込みを削除要請しても、サイト管理人の判断で削除されない場合がある。また、個人を誹謗中傷する書き込みは、各市町に情報提供し、法務局への連絡を依頼している。今後は、各市町等でモニタリングできる環境づくりが求められ、その一環として同センターはモニタリング養成講座にもとりくんでいる。
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