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差別発言を報告せず放置 〜「よみかきこうりゅうかい」で
大阪

「解放新聞」(2021.03.05-2983)

 【大阪支局】 2019年10月27日にひらかれた「だい30かいよみかきこうりゅうかい」の分科会で、学習者が部落の地域を「よつ」と発言したことにたいして、担当にあたった行政関係者が差別事件と報告せずに放置し、差別事象から1か月後に同実行委員会の委員長が問題提起し事件が発覚した。1月26日には大阪市教育委員会に要望書を提出した。

 今回の発言は、分科会で学習者が発表した作文について感想を話し合ったときにおきた。

 大阪市内の教室で学ぶ学習者Bが「かつて差別があり、住宅がなかなか借りられなかったが○○(地域名)で借りられた」という苦労話をしたときに、学習者Cが「あそこはよつやから」と発言。Bが制止したが、Cは「わかってんねんけど、これ使わな説明でけへんねん。よつはそういうの、借りやすいねん」と再度、発言した。

 B、Cは高齢の在日コリアン女性で同じ教室で学んでいる。

 発言にたいして分科会運営者で識字・日本語教室ボランティアのUが差別用語であり、もちいるべきではないと指摘した。その後は問題発言もおきず、分科会の内容にそって意見交換がおこなわれた。

 この分科会は、運営スタッフとしてUのほかに夜間中学校教員V、会場責任者として大阪府教育庁のW、記録者として堺市のXが担当。

 分科会の終了後にひらかれた反省会に、この分科会からはXが出席したが、「民族問題であったり、部落差別の話があった」と報告するだけで、差別事象については運営スタッフと確認していないことを理由に報告しなかった。

 その2週間後、Uから報告を受けた森実・実行委員長が、よみかきこうりゅうかい実行委員会事務局で大阪府教育庁地域教育振興課のYへ事件内容について確認し、事象発生から1か月後の11月27日にYが幹事会に口頭で事象を報告して全員が差別事象を共有することになった。

 大阪府教育委員会は昨年6月25日付けで「差別事象の報告について」という文書を府連に提出。

 初期対応が遅れた原因として人権侵害にかかわる言動を差別事象と捉える認識が弱く、差別事象が発生したときの報告体制や対応方法について十分な知識がなかったために適切な対応ができなかった。再発防止へ向けて職員が適切に対応できるように対応マニュアルを作成することなどを確認した。

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