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県・14市町村と交渉 〜「推進法」の具体化など求め
大分

「解放新聞」(2021.03.15-2984)

 【大分支局】 「部落差別解消推進法」(以下「推進法」)の施行から4年が過ぎた。「推進法」の具体化を求め、大分県連は昨年10月15日から今年2月24日にかけて、県内14市町村との交渉、大分県との交渉を、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止しながらおこなった。

 市町村交渉は、各市役所などで展開。それぞれ冒頭に清田昌助・県連委員長が、各市町村の「条例」の改正と、窓口の課名変更(「同和」から「部落差別解消」)について評価し、「推進法」でうたわれている相談体制の充実、部落差別を解消するための教育・啓発、部落差別の実態調査の実施について、また、事前登録型本人通知制度の状況と地域部落差別解消保育連絡協議会の結成について、各市町村から、とりくみ状況の報告を受けた。

 とくに「推進法」施行前と施行後のとりくみの違い、相談の内容分析や体制について、教育・啓発では、特定職業従事者(市町村職員)の研修、市町村教育委員会主催の教員研修、関係団体にたいする研修、企業・団体にたいする研修状況などについて、とりくみの状況を聞いた。

 「推進法」の周知では、現在のインターネット上の差別事象について、法律の趣旨等をふまえて、ネット上でどのような差別事象があるのかを整理し、市民・町民に周知をおこなう必要がある、「ネット上に差別事象がある」だけでは理解してもらえないのではないか、と各市町村に差別事象の把握と分析を求めた。

 実態調査については、部落差別の実態を把握せずに、差別の解消をはかる計画やその施策をおこなうことはできない。実態調査が「新たな差別を生む」という意見については、実態調査は過去に十数回おこなっているが、それらの調査も差別を生んでいるのか、差別実態を把握することは部落差別を解消するうえで必要不可欠、と訴え、調査の必要性について意見を交わした。市町村からは、部落の実態調査について、その必要性は認めたが、調査の内容や実施時期には明確な回答が得られなかった。ひき続き、市町村と協議していくことを確認した。

 大分県との交渉は昨年12月18日、大分市内でおこない、県連は、執行部8人と各支部から30人が参加した。県からは、黒田秀郎・副知事はじめ、窓口の人権尊重・部落差別解消推進課職員と各課の兼務主幹が出席した。

 黒田副知事は、「2020年4月に大分県人権尊重基本方針を改定し、部落差別解消推進法の県民への周知をあらためて明記した。今後とも、さまざまな媒体や機会を活用して部落差別の解消にとりくんでいく」とあいさつ。

 つづいて、清田県連委員長が「昨年の交渉で、県条例の制定を求めてきた。各市町村では条例の改正などをおこなっているが、いまだ部落差別解消に特化した県条例が制定されていない」と、県のとりくみについて意見を求めたが、検討する、という回答にとどまった。

 つづいて大分県教育委員会との交渉では、とくに学校教育での推進体制にふれて、「地対財特法」の失効後、部落差別を解消するための体制が不十分であり、高校と同じような「人権教育・部落差別解消推進リーダー」の設置が必要ではないか、と意見を求めた。しかし、現状では設置が難しいとして、現在の体制の強化をはかる、という回答にとどまった。今後もひき続き、協議をおこなうことを確認した。

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