「解放新聞」(2021.03.15-2984)
【埼玉支局】 鴻巣市内で1月11日から個人を名指しで「同和地区出身者、且つ犯罪者だ」などと記入した悪質な差別ビラが電柱に貼られたり、小学校の校庭や公園にまかれる事件がおきていたが、2月2日、鴻巣市警察署はビラを配布した容疑で市内在住の50歳代の男性を名誉毀損罪で逮捕した。埼玉県連は鴻巣市と埼玉県に真相解明を急ぐよう求めるとともに、住民や児童にたいする適切な指導を要請した。
差別ビラが最初に発見されたのは、1月11日で、小学校前の電柱にB4サイズのビラが貼られているのを通行人が見つけて警察に通報した。ビラには市内在住のAさんの住所と 名前が書かれており、「要注意人物/A夫妻は2人とも同和地区出身者、且つ犯罪者だ/日本人としてカウントされていない為に市県民税は免除されている」と記載されていた。ビラはこのほか公園の電柱に1枚、新幹線の橋桁に6枚の合わせて8枚が貼られていた。警察は、この情報を被害者のAさんに報告した。
1月14日には、小学校の正門近くの校庭に6枚のビラがまかれ、校内をパトロールしていた教員が発見して回収した。学校はAさん、市教育委員会、警察に報告した。18日には、Aさんの自宅近くにある公園に複数枚のビラがまかれているのを、園内にいた住民が発見してAさんに報告。風で飛ばされてまかれた枚数は不明だが、Aさんは市役所を訪問し、相談した。
20日にはAさん宅の近所の郵便ポストにビラ9枚が投函され、また、周辺に複数のビラがまかれた。21日にはふたたび小学校の校庭に4枚のビラがまかれ、見回り中の教頭が発見して回収した。学校はAさんと警察に報告した。
27日には、枚数が不明だが、新幹線の橋桁のフェンス内にビラが投げこまれた。2月2日、鴻巣警察署はビラを配布した男性を逮捕し、市に報告した。
県連は1月25日、鴻巣市役所を訪問し、市職員から事情を聴取した。鴻巣市は「学校から連絡を受けてはじめて知った。大変な問題だと驚いている」とのべた。この時点では誰がおこなっているのかわからなかったため、職員が早朝に学校周辺やAさんの住居がある地域をパトロールして、学校でも校内の見回りを続けていると報告した。
県連からは「ともかくこの悪質な行為を止めさせることを最優先する」とのべ、ビラを配布している人物を突き止めるよう市に強く要請した。
2月8日には、県連がさいたま地方法務局を訪問し、悪質な人権侵犯事件として対処するよう要請した。同日、県も訪れ、人権推進課、人権教育課に事件の真相を究明し、適切な対策を講じるよう要請した。
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