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NEWS & 主張

無観客のホールで解放文化祭ひらく〜「できない」から「いまだからできること」へと
長崎

「解放新聞」(2021.03.25-2985)

支部オリジナル台本の紙芝居「クレヨンまぜて」は女性部の人がつくったお話で、登場人物のクレヨンの子どもから人種差別やいじめを考える作品

支部オリジナル台本の紙芝居「クレヨンまぜて」は女性部の人がつくったお話で、登場人物のクレヨンの子どもから人種差別やいじめを考える作品

 「ストーブ、どうやってつけると?」

 倉庫から引っぱり出した「だるまストーブ」に子どもたちは興味津津。長崎では珍しく2度の積雪があったこの冬は寒く、子どもたちが集まる集会所の暖房器具をヒーターではなく、ストーブにした。換気が必要なストーブは、やかんを置けば蒸気も出るので、コロナ対策にもなると考えた。

 これまで普通にできていたことが、できなかったこの1年。とくに、全国的に「緊急事態宣言」が出された昨年5月の大型連休の前後から夏にかけては、さまざまな行事が中止となった。子ども会活動でも、小学生のキャンプや中高生の夏合宿など、子どもたちが楽しみにしているイベントは中止を余儀なくされた。

 現在、長崎の解放子ども会は、小学生からなる「いものこ子ども会」が4人、中高生の「ウラカミ雑草の会」は11人で活動している。普段は、それぞれ週2回の学力保障と解放学習をおこなっているが、その活動自体もどうすればできるのか、先生たちと何度も協議をおこなった。検温や消毒の徹底、マスクの着用や間隔を広くとっての座席配置などをしながら活動を続けることができたが、キャンプや合宿などのイベントができないため、何か物足りない。

試行錯誤の解放学習

いものこ・雑草の会による「一年間の活動報告」。コロナ禍で活動が制限されるなかでの活動を紹介。魚釣りや芋掘りなど、課外活動も多くおこなった(2月20日・長崎市)

いものこ・雑草の会による「一年間の活動報告」。コロナ禍で活動が制限されるなかでの活動を紹介。魚釣りや芋掘りなど、課外活動も多くおこなった(2月20日・長崎市)

 長崎は、大都市にくらべると感染状況がゆるやかで、身近な所での感染もなく、子どもたちにとってはいわゆる「楽しいこと」が中止や制限されたという印象なのかもしれない。子ども会活動をサポートするおとなも同様で、全国高校生集会の中止をはじめ各種イベントの開催が危ぶまれるなか、どこをゴールに解放学習をすすめていくのか試行錯誤した。

 「できない」という言葉が多く聞かれた年度当初から、少しずつ時間がたつにつれてリモートでの講演など、工夫したとりくみが聞こえはじめた。「できる」「できない」の二択だけではなく、「どうすればできるのか」「いまだからできること」を子ども会活動でも考えるようになっていった。

 先生たちと一緒に教材づくりをした「コロナ差別」の学習を、学校よりも早く子ども会で実施。人権にかかわる楽しいクイズの作成や、県内スピーカーとのリモートでの「LGBT Q&A」など学習をすすめていった。

 ストーブのつけ方を子どもたちが覚えたころ、1年間の子ども会のとりくみを内外に発信する「解放文化祭」を2月20日、無観客で開催することとなった。いつもなら、100人以上が集まる文化祭。観客はいない長崎原爆資料館のホールで、「ウラカミ雑草の会」は学習した差別問題をクイズにして出題。「いものこ子ども会」は支部のおとなと一緒にオリジナルの紙芝居を披露。拍手は少なかったけれども、広い会場でこの1年間をふり返ることができた。例年よりも短いプログラムではあったが、そのようすは録画したものを関係者に配布する予定だ。

 新型コロナによって、人とふれあう機会が減少するなか、笑顔が少なくなったと感じたこの1年。自分たちを見守る多くの人たちがいることを再確認しながら次年度は、もっと子どもたちと笑顔が増える活動を考えながら思い出を一つずつ増やしていきたい。

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