「解放新聞」(2021.06.05-2992)
【埼玉支局】 無実の罪を着せられて29年間を獄中で過ごし、再審無罪をかちとった布川事件のえん罪被害者・桜井昌司さんが執筆した『俺の上には空がある広い空が』(マガジンハウス)の出版を祝う会が4月17日、都内でひらかれ、支援者や弁護士など100人が参加した。
がんで余命宣告を受けている桜井さんは「このコロナ禍のなか、たくさんの人が来てくれ、本当にありがとう」とのべ、生命のある限りえん罪と闘い抜くと決意を語った。布川事件再審弁護団の弁護士、冤罪犠牲者の会共同代表で東住吉事件の青木惠子さんらが祝辞をのべた。
第2部では、ゲストの鴨志田祐美・弁護士がみずから作詞作曲した歌を披露。桜井さんも自身のつくった歌と詩の朗読をした。
布川事件は1967年8月、茨城県利根町布川で67歳の男性が殺され、現金を奪われた事件。茨城県警は物的な証拠がないまま、桜井さんと杉山卓男さんを逮捕し、「自白」を強要。一審で無期懲役、高裁をへて最高裁で刑が確定したが、桜井さんと杉山さんは獄中で無実を訴え続け、96年に仮出所したあとも再審を求め、05年に水戸地裁が再審を決定し、事件発生から43年がたった11年に無罪判決をかちとった。
桜井さんは、えん罪事件の被害者として国と県を相手に損害賠償を求めた訴訟で闘っており、6月25日には東京高裁で判決が出る。
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