「解放新聞」(2021.07.25-2997)
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1974年の創設いらい、反差別と人権確立への貢献をめざす部落解放文学賞は、第48回の作品募集となる。
鎌田慧・代表は、大衆運動としての文学賞が減り、文化運動が弱くなってきていることがいまの社会状況にあらわれているなか、部落解放文学賞の存在意義は大きなものがあり、今後も発展させていかなければならないと、一昨年の第45回の表彰式で提起をされている。
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新型コロナウイルスが世界的に猛威をふるうなか、ようやくワクチンのめどがついたと思う矢先、すぐに供給がストップ、さらに感染力の強い新型ウイルスがあらわれるなど、人びとは不安と憤りを募らせている。
日本でも、いのちや生活を守るための十分な補償もないまま、雇用の悪化をはじめ、日常生活や将来への不安・不満などから児童虐待やDV、差別や偏見、忌避といった言動があとをたたない状況にある。
「緊急事態宣言」で県をまたぐ移動が制限をされるなか、県外ナンバーの車へのいたずらや嫌がらせも記憶に新しい。
このような状況のなか、菅政権はオリンピックを強行しようとし、安倍政権からちぐはぐな政策がひきつがれており、人びとは翻弄されているといっても過言ではない。
そうした意味でも、部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃に向け、反戦・平和と反差別・人権確立の立場から創作に励む人びとが集う部落解放文学賞の重要性はますます高まっている。
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文学は、高い教育を受けた人の特別なものではなく、生活と密着した生活感あふれるもの、そして差別を受けてきた歴史や事実を語るものであり、そのなかを懸命に生きてきたことを語ることで人間の尊厳を照らすものである、という考えのもとに部落解放文学賞は発足した。生い立ちや日常生活のなかにある差別を捉え返すことで、自分の生き方が大きく変わる。差別に満ちた社会の変革のために、自己の変革をとげていく姿は部落解放の原点といえる。
これまで、反差別・人権確立を掲げてきた部落解放文学賞だからこそ生み出された作品も多くある。これまで同様、あらゆる差別をはじめ、それぞれの視点から苦しみ、喜び、いのちの尊さ、人権・平和への思いや願いをつづった作品を期待したい。
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