「解放新聞」(2021.08.05-2998)
法務省交渉を7月16日午後、省内でおこない、片岡副委員長、西島書記長、村井中執をはじめ8人が参加。省は人権擁護局の杉浦直紀・総務課長、江口幹太・調査救済課長、鳥丸忠彦・人権啓発課長ら8人が出席した。インターネット上に流されている部落の所在地情報(識別情報)にたいし、省は危険性を認めて違法性があると「依命通知」(18年12月)を出したが、なぜいまだに削除されないか。現状認識ととりくみを追及し強い対応を求めた。
省は、ネット上の人権侵害について「部落差別の事案に関する人権侵犯事件は増加傾向。識別情報の摘示は人権擁護上、看過しえない」など回答。しかし、鳥取ループのユーチューブ(YouTube)での差別動画など個別の事件については、把握しているが具体的対応は答えられないとし、一般論で回答した。省の人権擁護局は4月、米国の企業グーグル(Google LLC)の「ユーチューブ公認報告者プログラム」への参加要請を受けており、人権擁護局の削除要請は優先的な審査対象となるほか、継続的な意見交換なども実施される。省は▽彼らのルールに乗ることができ、指摘の点もふくめて説明している▽いままでよりも深く接触できる枠組み、ふみこんでいく、など答えた。
同盟からは「鳥取ループが予告して実施した5月の差別講演動画を削除すれば大きな効果がある。グーグルの方針として識別情報の摘示を自主的に削除するようにしてほしい」と指摘。「ネットで相手の出自や差別情報が調べられる状況。丹波篠山市長らが動画削除を求めた裁判など、現場は依命通知を活用して闘っている。裁判も含め、良い方向に向かっているいまこそ、ふみこむべきだ」と訴え、▽ユーチューブのルールに識別情報の問題の明記を▽「依命通知」の「学術研究」の文言を逆手にとる確信犯に対応できる明確な基準を▽「個人情報保護法」違反の切り口でも企業の社会的責任を▽アウティングの考え方でもアプローチを▽被害の発見と救済についても議論を、などと求めた。
そのほか、▽相談体制の充実▽効果ある啓発に向けた、国と自治体とが連携したモデル地区の設置▽「部落差別解消推進法」6条にもとづく実態調査結果をふまえ、同和教育減少の一方、ネットで若年層に広がっている差別情報にたいする対策は急務▽当事者参加で教育・啓発の中身をつくる必要がある、などを訴えた。
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