「解放新聞」(2021.08.05-2998)
【東京支局】 東京都は2月9日、「人権に関する都民の意識調査報告書(今回調査)をホームページで公表した。この調査は、2020年12月、「インターネットモニターを対象としたWebアンケート」により都内に在住する18歳以上の男女1万人を対象に実施された。2013年にも「人権に関する世論調査」(2013年調査)を実施しているが、この7年間で人権状況は悪化しており、結果から部落差別意識の強まりが浮き彫りになった。
「今回調査」では、部落問題について2つの設問がある。まず認知度についてだが、この設問に「知らない」と回答した人が20・4%なので、同和問題の認知度は79・6%となる。「2013年調査」では、80・8%なので1・2ポイント減少しており、認知度の向上が見られない。認知度を年代別で見ると「18歳・19歳」67・5%、「20代」70・2%、「30代」73%で、若い世代の「認知度」は低く、平均以下は30代以下の世代である。
つぎに「はじめて知ったきっかけ」の上位3つは、①「学校の授業」19・1%、②「テレビ、ラジオ、新聞、本など」15%、③「家族」9・9%である。また、「はっきり覚えていない」が17・2%いる。
年代別では、「60歳以上」を除くすべての年代で「学校の授業」がもっとも高く、なかでも「18歳・19歳」が28%で一番高い。だが、それでも3割に満たないことを問題視すべきである。
「2013年調査」との比較では、2013年は「テレビ…」「学校の授業」「家族」という順番だったが、7年間で「学校の授業」と入れ替わった。認知度があまり変化していないなか、「学校の授業」で知る機会が増えたというより、「テレビ…」での部落問題のとりあつかいが減ったと理解すべきだろう。
若い世代の認知度が平均値よりも約10ポイントも低いということは、「学校の授業」でとりあつかう回数も減っているのではないだろうか。
「はじめて知るきっかけ」をあらゆる媒体でつくり、認知度をあげていく必要がある。もちろん「正しく認知」することが重要だ。
「仮にあなたが同和地区の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対を受けたら、あなたはどうしますか」にたいしては、「自分の意志を貫いて結婚」が「2013年調査」の26・1%から「今回調査」19・2%と6・9ポイントも減少し、「絶対に結婚しない」が0・9ポイント増加。「わからない」も10・4ポイント増加している。
認知度が8割だとしても、その認知内容が重要であり、差別は許されないという態度の育成に向けた継続的な教育・啓発が必要である。
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