「解放新聞」(2021.09.05-3001)
【京都支局】 福知山市シルバー人材センター差別発言事件の糾弾学習会を7月15日、福知山市・人権ふれあいセンター下六人部(しもむとべ)会館でひらき、府連、福知山地協の支部員ら20人が参加した。西島藤彦・府連委員長は「事件をどう克服していくのかが課題だ。市のとりくみのレベルを高いものに」とよびかけ、大橋一夫・福知山市長は「事件は市の差別解消のとりくみの形骸化のあらわれ。市職員が先頭に立って部落差別解消にとりくむ」と表明した。
事件は、福知山市シルバー人材センター(以下・シルバー)で、2019年6月ごろからシルバーの会員が「あの人はこれやで」などといって4本指を出すなど、差別発言をくり返していたもの。発言を聞いた会員が自分のつれあい(会員)に話し、つれあいがシルバーに相談したが解決しなかった。京都地方法務局福知山支局に相談しても「訴訟するなら応じる」と的外れな対応だった。20年6月17日、福知山地協に相談し、地協が市に連絡。市とシルバーの継続的な事実確認で本人が発言を一部認めた。
府連も本人への事実確認会をおこなった。最終的に本人は発言を認めて反省した。この事実をもとにシルバーと市にたいする事実確認会をおこない、シルバーも市も初期対応が遅れて訴えを放置していたことが判明した。シルバーは、それまで会員に部落問題研修をしていなかった。差別発言にもどう対応していいかわからず、相談を受けたあと、会員に「私語をやめるように」という職場マナーのような文書を出しただけ。一方、市は、20年2月にシルバーから相談を受けたが、事実関係が不明だったとして対応せず、その後も確認していなかった。差別事象などへの対応マニュアルはあったが活かされず、職員間の情報共有もなかった。
糾弾学習会で、シルバーの中里嘉久(よしなが)・会長は、会員研修の実施や「人にいちばん近いまちづくり福知山市実行委員会」参画など、差別解消のとりくみをすすめると表明。市は、事件の背景を総括し▽職員研修充実▽事業所に人権研修などにとりくむように求める▽人権推進室の機能強化と相談体制充実▽市民や企業への人権啓発推進など、今後のとりくみを説明した。
大橋市長は「条例の制定については府の動向を注視し、時期がくれば準備をおこたることのないよう指示している。人権政策は本市の重要な政策の柱のひとつ。部落差別撤廃のためには、差別の現実から深く学ぶことが大切だ。市民や企業などでも教育や啓発のとりくみをすすめるため、全職員が部落差別をぜったいに許さないと心に決め、差別撤廃のため主体的にとりくむ」と決意を語った。
最後に安田茂樹・府連糾弾闘争本部長が「シルバーは差別をなくす主体として動いてほしい。市長から啓発や研修をすすめると表明があった。課題を具体的に解決できるようとりくみを」とまとめ、「シルバーの問題は福知山市だけの問題ではない。府内全域のシルバーに問題提起する必要がある。また、市職員の人材育成は、形骸化しないようにどうとりくむかが問題。市民への啓発も必要」と今後の課題を指摘した。
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