「解放新聞」(2021.12.15-3011)
【奈良支局】 奈良県内でアイヌ民族への認識を深めることを目的に、4月からとりくまれてきた「巡回展「先住民族アイヌは、いま」」が、10月30日にエンディングを迎えた。
最終日のこの日は、御所市柏原にある西光寺前の広場(人権のふるさと公園)で、「アイヌ文化体験学習と公演の集い」がひらかれた。マユニタラモシリ札幌トンコリ保存会のメンバーらが古式舞踊やトンコリ演奏などを披露。午前と午後の2回おこなわれ、合わせて150人が参加した。
先住民族アイヌのいまを考える会の淺川肇・委員長は、「人権運動発祥の地である御所市の西光寺前でイベントをもつことを感慨深く思う。北海道でも水平社運動に刺激を受けたアイヌ民族の方がたがみずから起ち上がり解平社がつくられた。ご縁を感じる」とあいさつした。
交流会に先立ち同保存会の多原良子さん(メノコモシモシ代表)が、会の説明を兼ねてあいさつし、水平運動にしっかりと学び、アイヌ民族の復権運動につなげていきたい、と思いを語った。
集いでは、多原さんが、アイヌ民族の世界観や、アイヌの踊りに関する説明、民族楽器のトンコリ、ムックリなどについて解説をおこなった。
そのあと、ムックリやトンコリの演奏、ウポポ(座り歌)などを披露。また、観客と一緒にウェカップというあいさつの踊りや、トンコリ演奏のワークショップがおこなわれた。
このほか、サロルンチカップリムセという鶴の舞では、観客も鶴の鳴き声をあげ盛り上がりをみせた。最後に、同保存会のメンバー、参加者が大きな輪をつくり、ポロリムセという輪踊りを一緒に踊り、交流を深め合った。
巡回展は、奈良市を皮切りに、桜井市、河合町、三宅町、大和高田市、宇陀市、大淀町を巡り、最後の御所市では10月5〜30日、水平社博物館の特別展示室を会場におこなわれ、会期中に1016人の来館があった。
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