「解放新聞」(2022.01.25-3015)
【奈良支局】 奈良県天理市の「天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会」が昨年11月20日、同飛行場跡をめぐる新コースでフィールドワーク(FW)をおこなった。新コースは、JR柳本駅を出発して山の辺の道を歩き、JR長柄駅をゴールとする。竜王山のふもと竹ノ内町付近では、1943年から大和海軍航空隊大和基地(柳本飛行場)の建設が開始され、本土決戦に備え、大本営をはじめ飛行機格納庫、備蓄庫など27のトンネルが掘られた。FWでは、旧兵舎区にある防空壕(通信施設)跡などをめぐり、天理市内がアジア・太平洋戦争で日本海軍の最終拠点に位置づけられていた歴史を伝える。
FWには、学生や教員、自治体職員、歴史研究者ら20人が参加。「考える会」共同代表の髙野真幸さんの案内で、寺院の墓地にある朝鮮半島等での戦没兵士や朝鮮人労働者の墓、航空監視所が建てられた下池山古墳などをめぐり、旧海軍兵舎区域内の現天理教団所有地内で発見されたコンクリート製防空壕に入った。壕内にある4つの部屋の天井には数か所、むき出しになった照明器具の配線が暗闇に差し込む光で確認でき、実際に使われたようすがうかがえた。最後に、柳本飛行場建設にかかわる朝鮮人労働者の強制連行や設置された「慰安所」での朝鮮人女性について、歴史を伝えるために「考える会」が新たに設置し直した説明板を見学した。
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