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実態把握と対策求め〜「壬申戸籍」問題で申し入れ
長野

「解放新聞」(2022.02.05-3016)

 【長野支局】 インターネット競売サイトに松本市関係の「壬申戸籍」が昨年8月に出品されていた問題で、長野県連は1月11日、長野地方法務局に申し入れをおこなった。局のとりくみと今後の対応策を明らかにするように要請。差別身元調査の材料であり、封印されて全面閲覧禁止のはずの「壬申戸籍」が出回っている実態を把握し、対策をとるように強く求めた。

 県内では近年、長野市隣人差別事件をはじめ、南信地区でも2件の差別文書送付事件が発生。また、ネット上には、鳥取ループ・示現舎らによる小諸市内や佐久市内を撮影した差別動画(3014号に関連記事)の投稿など差別情報が氾濫し、実際の被害が報告されている。今回の競売サイトへの「壬申戸籍」出品は、部落差別情報をモニタリングしている佐賀県伊万里市の職員が昨年8月23日に発見し、佐賀県をとおして長野県に連絡されたもの。

 サイトを運営するヤフーは、長野県と松本市の削除要請を受け、同ページを削除した。しかし、長野地方法務局の動きは遅かった。出品者への事実確認や「壬申戸籍」の回収などについて、当初は県連にたいしても、本省(法務省)の指示がないと動けないと回答。県連からの連絡を受け、中央本部が法務省に問い合わせたところ、法務省は、出品者にたいし、法務省に連絡するようにヤフーを通じて通知を2度おこなったが、本人からの連絡はないということだった。

 そのため、中央本部は、昨年11月、サイト内に記載されていた連絡先に直接電話し、事実関係をたずねるとともに、法務省に連絡するように本人に求めた。そのさい、本人は「壬申戸籍」は焼却したなどと話した。 山本喜一・県連執行委員長名での後藤芳昭・長野地方法務局長あての申し入れ書「松本市の「壬申戸籍」に対する申し入れ」(1月11日)では、局のとりくみと今後の対応策を早期に明らかにするように求め、「人身戸籍」が出回っている実態の調査・把握を要請。また、今回の「壬申戸籍」が、出品された8月18日には2800円だった入札価格が、ネットからの削除までに84件の入札があり、金額も11万1000円にまで跳ねあがっていたと報道されていることを指摘し、「身元調査等に使われる「壬申戸籍」が金儲けの道具となっている実態こそ問われなければならない」と指摘。「「部落差別解消推進法」の具体化の一環として、国民の人権確立を図るとともに、悪質な差別情報にはメスを入れるような対策を取られるよう強く要請します」と求めている。

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