「解放新聞」(2022.02.25-3018)
【滋賀支局】 近江八幡市・県立男女共同参画センター大ホールで1月19日、人権研修会がひらかれた。主催は社会福祉法人グロー(牛谷正人・理事長)。グローの職員をはじめ、他の高齢者施設の職員、滋賀県人権センター、滋賀県連など関係機関・団体から102人(Zoom視聴者をふくむ)が参加した。
この研修会は、2016年12月におこなわれた第13回滋賀県施設合同企画展(主催=滋賀県合同企画展実行委員会、事務局=グロー)で、出展作品に「穢多宮優子」という差別ペンネームが使用されたという差別事件のとりくみの集約をふまえたもの。
5年間という長い時間を要したのは、作品を出展した県立M学校と実行委員会事務局のグローそれぞれの問題点と課題を明らかにするため、二つにわけて事実確認・対策会議をおこなってきたため。
グローは、新たに人権教育基本方針、人権教育推進委員会をつくり直し、事務局に専門職員を配置して、人権・部落差別問題に関する研修を強化した。
研修会では、牛谷理事長が主催者あいさつ。「今回の差別事件を契機に、今日までのグローとしての人権問題・部落差別問題にかかわる研修の実態や課題を見直すことにとりくんできた。多くの改善点が明らかになった。今回の研修会をスタートラインとして、さらに充実強化していく」とのべた。
県連を代表して丸本千悟・書記長代行が今回の差別事件の課題と問題点を提起した。1点目に、県立M学校、グローともに教員・職員がペンネームに差別語の「穢多」が使用されていることに気づかず出品され、図録まで製作され、配布・販売されていた。実行委員会の加盟団体にも図録は配布されていたが、問題提起はなかった。これらのことから「穢多」という差別語にたいする認識がなく、20代から40代の教員・職員の部落差別問題に関する研修が欠落していることを明らかにした。
2点目に、県立M学校、グローで発生した差別事件の確認事項やとりくみが風化・形骸化していた。確認されていた基本方針や推進体制が形骸化し、今回の差別事件が発生したとき、何らの機能も果たしていなかった。丸本書記長代行は、今日の研修会がこの2つの課題を克服する出発点になることを期待している、と参加者に訴えた。
研修会の講師は、元部落解放同盟中央本部書記次長の谷元昭信さん。「水平社創立100年の今日的意味と差別撤廃への課題〜今日の部落差別の現状は、私たちに何を問いかけているのか〜」と題して講演した。
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)