pagetop

NEWS & 主張

差別落書き事件に学び 〜人権教育の創造へ学習会
滋賀

「解放新聞」(2022.04.05-3022)

パネルディスカッションをおこなった学習会(2021年12月23日・滋賀県草津市)

パネルディスカッションをおこなった学習会(2021年12月23日・滋賀県草津市)

 【滋賀支局】 県立K高校で2020年9月に部落差別落書が教室内の黒板に書かれるという事件が発生した。関係機関・団体で報告会、対策会議をひらき、2021年3月31日には合意のもとで集約をはかる集約会議をもった。その後、この事件から学ぶ学習会の開催を確認し、関係機関・団体によって「K高校の人権教育を考える学習会(「学習会」)実行委員会」を結成。12月23日19時から草津市立クレアホールで276人が参加して学習会をおこなった。

 学習会は2部構成で、第1部はK高校の学校長あいさつ、K高校から見解書の概要、滋賀県連から糾弾要綱が報告された。第2部は「学習会」としてK高校の教員3人、K高校の人権学習のゲスト2人のあわせて5人をパネリストに、コーディネーター2人を加えてパネルディスカッションをおこない、今後のとりくみに向け、実践課題などを論議した。

 K高校の校長は「「学習会」をスタートラインとして本校でのとりくみを、さらに充実させていきたい」と開会あいさつ。

 K高校の見解書では、20年9月、教室の黒板に「ぶらくキモ 部落」と差別落書されているのが発見された。校長が放送で事案について説明し、差別をはね返す学校づくりの再構築に向けて生徒に協力をよびかけた。その後、各ホームルームに全教職員が入って思いを伝え、協力をよびかけた。厳密な検証をしたが、行為者の特定にはいたらなかった。しかし、外部の可能性はほぼなく、本校に部落差別があるという事実が明らかになった。

 「誰か一人のいのちを奪った、誰か一人の人生をねじ曲げたかもしれない出来事が「私」の勤務するこの学校で起きたと受け止め、それぞれが当事者性を意識して取り組んでいく」ということを教職員間で再三共有し、とりくんできた。

 20年10月14日、K高校の主催で報告会を開催。関係機関・団体に差別落書事件の概要、その後のとりくみ等について報告した。21年3月31日に関係機関・団体が集まり、K高校が示した要因・背景と今後のとりくみ方向を確認し、集約することを確認した。8月に学習会をもつことになっていたが、コロナ緊急事態で延期された。

 生徒・教職員を対象にしたアンケート調査を実施し、事件の要因・背景を探った結果、この10年来、本校でとりくんできた「ぬくもりある学校づくり」がまだ十分に達成できていないことが明らかになった。また、部落差別問題については、小学校で22%、中学で46%が学習したと回答しているが、歴史的事象として学習しているケースが多く、現代社会の差別問題として捉えていないことが明らかになった。教職員については、「差別社会の当事者」としての自覚がどれくらい自分のものになっているかということと、みずからの当事者性を問うさいに「被差別の思いとしっかり向き合ってきたか」ということが課題として浮かびあがった。

 報告2は、滋賀県連の丸本千悟・書記長代行が糾弾要綱について問題提起した。K高校の実践が「学習会」を契機にさらに前進することを期待するとまとめた。

 第2部のパネルディスカッションは、「被差別の想いと差別社会の当事者性〜これからの人権教育創造に向けて〜」をテーマにおこなわれた。きょうまでのとりくみを否定する行為が今回の差別落書事件。差別にたいする怒りを共有して一緒になって差別をなくすとりくみをすすめていこうと参加者に訴えた。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)