「解放新聞」(2022.04.15-3023)
【鳥取支局】 鳥取県連は3月13日、「2021年度差別事件報告・人権確立をめざす鳥取県民集会」を、倉吉市体育文化会館でひらき、県内各地から123人が参加した。県内で発生した差別事件のなかから▽高校、中学校での差別発言事件▽自治体への「同和地区」問い合わせ事件▽栃木県内の行政書士による戸籍謄本等不正取得事件、を報告。課題やとりくみの方向を考えるとともに、差別禁止法、人権侵害救済法など法整備の必要性も確認。差別に遭遇したときに行動できる人になろうと闘いを誓った。
学校での差別発言事件は、「地対財特法」失効後、部落差別の現実から具体的に学ぶ機会がなくなっていくなかで、あいついで発生している。子どもの大半が部落問題学習にたいし「差別は昔の話。いまはない」「貧困。劣悪。かわいそう」「大変。よくわからない。暗い」「寝た子を起こすな」「勉強することで差別を広げることになる」「差別落書は消せばよい」「自分は差別しない」「人権学習の答えはいつも一緒」などのマイナスイメージを抱いており、遊び感覚で「Fさんは同和地区の人」とはやし立てたり、社会科で昔の職業を学んだとき「○○(被差別部落名)」と発言するなど、無知や無理解、無関心が表面化している。小・中・高校での学びが問われており、プラスイメージに転換する部落問題学習に改革せねばならない。子どもが「差別をしない」という認識から、差別は闘うことでなくせると理解する授業へと変革していく重要性を確認した。
教員についても、差別発言をした子どもに「それは言ってはいけないこと」というだけの指導であり、子どもがなぜそういう発言をするか、部落の歴史と現状はどうか、部落差別とはそもそもどういう問題か、など、問題を掘りさげていないという大きな課題がある。「言ってはいけない」だけの対応は忌避意識も助長する。また、出身をさらすアウティングが差別行為だという認識も弱く、差別の現実にしっかりと向き合うことが必要だ。差別事件を通し、小・中・高校の学びの連続性を確認し、差別をなくす視点を明確にしたカリキュラムづくりが教育行政に求められている。
「同和地区」問い合わせ事件は、どこが部落かを突き止めようとした身元調査事件。タナカと名乗る男性が、「県営住宅に入居を検討しているが、近隣に人権文化センターがある。同和対策事業で建てられた建物ではないか? そこは同和地区ではないか?」と自治体に問い合わせ、「差別につながる質問には答えられない」と対応した職員にたいし、「この会話は録音している。ユーチューブ(YouTube)で公開するぞ」という脅しもおこなったもの。
昨年8月に発覚した栃木県の行政書士による戸籍等不正取得は、鳥取県内でも合計11件の取得が判明している。しかし、県内では、本人通知制度の登録者数がまだ少なく、どこが部落か、誰が部落出身者かと調べる差別行為―不正取得の発見や抑制に効果が出ていないという課題がある。
第2部では「ネット上の人権侵害と部落差別の現実〜全国水平社創立100年を前にして〜」と題して、山口県人権啓発センターの川口泰司・事務局長が講演した。差別が起きる社会的背景や解決のプロセスを体験を交えて熱く報告。人権の法制度確立を求めるとともに、また、誰もが加害者にも被害者にもならないために、何が差別で、どうすれば差別をなくせるかを学ぶ人権教育、部落問題学習の展開を、と訴えた。
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