「解放新聞」(2022.05.15-3027)
【東京】 36年前の1986年4月26日未明、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発4号機で、急激な核分裂から爆発にいたる「核暴走爆発事故」が起きた。東京・衆議院議員会館前での「4・26チェルノブイリデー・キャンドル行動」(主催:原発止めよう!東京ネットワーク)には、およそ40人が参加。冒頭に、キャンドルを灯してチョルノービリ原発事故で亡くなった職員・消防士・住民や、現在ロシアのウクライナ侵攻で亡くなった犠牲者に黙とうを捧げた。
伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)は、「チョルノービリ原発から半径30㎞圏内の500を超える村は、いまも居住禁止区域だ。今回の侵攻でロシア軍は、抵抗勢力のないこの地域を簡単に占拠した。塹壕(ざんごう)を掘り、埋められた汚染物質で被ばくしたと報道されている。当時の原発事故で、公式には甲状腺がんだけが事故の影響とされ、60万人ともいわれる事故処理従事者のうち、死亡者は300人程度しか認められていない。実際には、数万人が死亡したとの見方もあり、さまざまながんの発生も伝えられている」と事故評価の問題点をのべた。さらに、「当時、日本にも放射能が飛来して牛乳や母乳などから放射性物質が検出されたが、日本の原子力産業界は、原発の構造が違うため日本で原発事故は起きないとして、強引に運転を継続した。その結果、2011年に福島原発事故が起きた」と指摘した。
チョルノービリ原発は、2000年に4基すべての原子炉が停止し、使用済み核燃料がすぐに暴走する状況ではないが、軍事攻撃によりふたたび汚染が広がる懸念がある。一方、ザポリージャ原発は現在もロシア軍が占拠している。6基のうち2基が運転中で、ロシア軍はいつでも原発事故を起こして大きな核被害を与えることができる。伴さんは、「原発は攻撃の対象になることが明らかになった。日本には、現在33基あり(※うち5基が運転中)、核兵器を置いて暮らしているようなものだ。危険で脆弱な原発と私たちは一緒に暮らせない。再エネ100%を求めていくことが必要だ」と原発の危険性をのべた。
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