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第79回全国大会の成果をふまえ、部落解放運動を大きく前進させよう

「解放新聞」(2022.07.15-3033)

 「自由、平等の渇仰者であり、實行者であった」先人たちが、部落民としての尊厳を高らかに宣言し、部落民自身による差別からの解放を期するため全国水平社を創立して100年。6月8、9日に開催された第79回全国大会で、組坂繁之・中央執行委員長が勇退され、西島藤彦・新中央執行委員長、赤井隆史・新中央書記長体制で101年目からの部落解放運動に臨んでいくことを決定した。
 大会後の第1回中央執行委員会で第79期執行体制を確認。第1回中央委員会で正式決定することとなるが、全国水平社からの運動100年の節目にあたり、新しい運動のスタートである。

 第1は、「部落解放同盟・新たなる決意具体化プロジェクト」を整備し、3月3日に開催した全国水平社創立100周年記念集会で発表した「新たなる決意」の具現化をすすめるものである。全国大会で採択した大会スローガンに謳(うた)われた「世界の水平運動」の新たな歴史を刻むには、何よりも人材育成はもとより持続可能な組織と運動をめざすことが重要課題である。

 いま、あらゆる分野で格差が拡大し、分断と排除、差別排外主義が台頭。地球的規模の人類的危機にも直面している。「水平社宣言」の精神を継承・発展させた部落解放運動として①人権の法制度の確立をめざす、②「社会的格差」と「社会的排除」との闘い、③世界の水平運動の展開、④未来志向の組織への改革―という「新たなる決意」の具現化へ、大会方針を着実に積みあげつつ展開する。

 第2は、各地方の諸課題を国の政策課題へと押しあげていく部落解放運動の展開である。「モノ・ヒト・カネ」が主要都市部に集中し、地方は経済活動の縮小、人口減少、少子高齢化、過疎化・限界集落化等が加速、とくに山間部や漁業地域の部落にそれらが顕著にあらわれている。各地方の部落の実態や課題に関する論議を活性化させ、国への政策課題へと押しあげる運動が重要である。第79期執行体制でも新たに「総合政策部」を整備し、各地方における懸案課題等を集中する仕組みとして、部落問題解決のための施策等を求める運動を強化する。

 第3は、そのためにも「関東・甲信越」「近畿・東海・北陸」「中国・四国」「九州」の各地方協議会活動を積極的に推進していくことが大事である。「地対財特法」が廃止・失効して20年が経過した。特別対策としての同和対策事業が廃止され、「地域改善対策協議会意見具申」(1996年)に示された一般施策の工夫・活用で部落問題の解決にとりくむという国の基本姿勢に関し、いま、あらためて部落問題解決に向けた政策等課題を提起する必要があろう。

 第4は、「水平社宣言」の精神に立ち返り、一人ひとりが人間として尊敬されるべき(地域)社会の確立をめざすため、差別と貧困で苦しむ人たちや被差別マイノリティの人たちとともに連帯した運動の展開である。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、いまの日本社会の矛盾が一挙に噴出したといえるのではないか。多くの人たちの収入が減り、とりわけ非正規状態で働いている人たちは真っ先に職を奪われた。倒産や「希望退職」という名のリストラ、コロナに起因する差別や偏見によるいじめや排除、クラスターが発生した施設や飲食店等へのバッシング等等、枚挙にいとまがなく「弱者たたき」が拡大しているといっても過言ではない。

 「分断と排除」は差別と格差の固定化を生み出す。そうした勢力に対抗するため「他者とつながる、助け合う、支え合う」運動を、「新たなる決意」を具現化することを通じて、とりくむものである。

 部落解放は人間解放―その「よき日」に向かって同盟員一丸となって奮闘していこう。

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