「解放新聞」(2022.07.25-3034)
法務省交渉を6月21日午後、省内でおこない、西島委員長、片岡副委員長、赤井書記長、村井中執をはじめ、9人が参加。部落の所在地をさらすなどインターネット上の部落差別扇動がいまだに放置され、被害が拡大し続けている深刻な実態を追及した。
プロバイダ等の事業者が速やかに削除できる実効性のある方策を求めて意見交換するとともに、部落差別が広がっている現実にもかかわらず、被害の相談窓口や啓発活動の有無など、部落差別撤廃に向けた自治体のとりくみに大きな格差がある問題を指摘。自治体のとりくみの推進・充実に向け、前回の交渉にひき続き、国と自治体が連携してとりくむモデル地区づくりを強く求めた。また、部落問題啓発の基本となる教材を法務省が作成して、自治体に情報提供するように提案。自治体が常設の相談窓口を設け、専門相談員を配置する大切さも強調した。
省からは、人権擁護局の杉浦直紀・総務課長、江口幹太・調査救済課長、高橋史典・人権啓発課長、唐澤英城・参事官ら8人が出席した。ネット上の差別情報については、削除するべき情報の判断基準を法的に整理するため、公益社団法人商事法務研究会の「インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会」に参加し、「取りまとめ」が5月31日に公表された、と報告。「取りまとめ」の考え方は省と一致しており、プロバイダ等の事業者が訴訟で使うことは十分可能、関係省庁と連携して事業者に内容の理解を求める、と語った。
同盟からは、「同和地区」の識別情報の摘示は原則削除対象、と省が「依命通知」(2018年12月)を出しているにもかかわらず、実際の削除は遅々としてすすんでいないこと、また、地方法務局に削除を要請した自治体にその後の報告がきちんと返されないことなどから、法務省・法務局への不信感が強まっている現状を指摘。差別情報削除に向けた省のとりくみ状況を質(ただ)し、削除がすすまない理由と課題、今後の対応策を追及するとともに、自治体にもきちんと情報を伝えて不信感をとり除くよう、ていねいな対応を求めた。
また、自治体が直接プロバイダ等に差別情報の削除を要請することについて、省の姿勢がわからず、直接要請しない自治体もあることから、省の見解を追及。省は、それは大いに歓迎する、とし「やはり複数で声をあげることが大切。法務省だけではなく、ぜひ地方公共団体でも同じようにやっていただきたい」「いろんなところで、いろんな方がたに声をあげていただき、力を合わせて世論を形成していくのは、とても大切なこと」などと語った。
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