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主張

 

徳島でひらく全国高校生集会・全国青年集会に結集し、
全国の仲間とともに運動の前進を

「解放新聞」(2022.08.05-3035)

 8月20、21日、第54回全国高校生集会・第66回全国青年集会を徳島県で開催する。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年は中止となり、2021年は学習会形式でのオンライン配信となった。今夏の開催は、3年ぶりの対面開催となる。感染症の拡大状況など注視しなければならないが、全国各地から高校生・青年が結集し、これからの部落解放運動の発展につながることを期待する。

 今後の部落解放運動の発展に、若年層の結集は不可欠だ。しかし、同盟員の減少、なかでも高校生や青年をはじめとする若年層が減少しているのが現状だ。世代や地域をこえ、多くの高校生・青年の連携を深め、とりくみの前進をめざしての合同開催となり、現在の参加者は引率をふくめ600人前後となっている。

 近年、青年部では、ブロックごとの交流会や共闘団体との連帯・交流がすすめられているが、全国青年部長会議などで、青年部員の減少や高年齢化などが共通の課題として報告されている。また、感染症拡大により活動が難しいなかで、運動から離れてしまった若者も少なくない。各都府県連青年部の現状を把握し、とりくみ課題を明らかにしながら、すべての都府県連に青年部の結成をめざさなければならない。この間、オンラインを利用した活動も交流されている。そういった新たな活動、新たなつながり方の模索もふくめ、仲間の輪を広げながら、青年部の活性化にとりくんでいこう。

 岸田政権は、軍事費の増大を強行する一方で、社会保障制度の改悪をおしすすめている。7月10日におこなわれた参議院選挙では、与党などの改憲勢力が3分の2以上を占める厳しい結果となったが、私たちは「戦争をする国づくり」を断じて許してはならない。

 また、ロシアがウクライナへの侵攻を開始し半年が経過しようとしている。被害は甚大化の一途をたどり、6月に開催された国連安全保障理事会では、約700万人がウクライナ国外に避難しており、多くの女性や子どもたちが性暴力被害や人身売買の危険にさらされていることも報告されている。

 戦争は最大の人権侵害である。かつて、全国水平社は、アジアへの侵略戦争に突きすすむ社会情勢のなかで、厳しい弾圧により戦争協力を余儀なくされた。こうした痛苦の歴史をくり返さないためにも、私たちはあらゆる戦争と差別に反対する広範な闘いの先頭に立たなければならない。

 発生から59年を経過した狭山事件の第3次再審闘争について、この間50回にわたる三者協議がひらかれるなかで、246点にもおよぶ石川一雄さんの無実を証明する新証拠が提出されている。4月には、証拠開示された取調べ録音テープ等によって、有罪認定の根拠とした警察官の証言が偽証であることが判明し、再審理由の追加申立書を提出した。犯行を否認する石川さんにたいして、「脅迫状を書いたことは間違いない」と決めつけた発言をくり返し、あげくには「供述義務がある」などと黙秘権も無視して自白を強要している実態が明らかになっている。さらに、今年は、弁護団から鑑定人尋問を裁判所に求める方針が決まるなど、再審開始への重要な局面を迎えている。

 また、弁護団が証拠開示を求めても、検察は必要性がないなどと不誠実な対応をくり返している。そもそも証拠開示の必要性は、検察が判断すべきものではない。証拠開示の法制化や再審開始決定にたいする検察の抗告禁止、事実調べの保障など再審手続きの整備を盛り込んだ「再審法」の改正も重要だ。

 広範な人々と連帯しながら、部落差別にもとづく権力犯罪であるえん罪・狭山事件を許さず、青年が狭山闘争の先頭に立ち、石川さんの無実を晴らすため、事実調べ・再審開始をかちとろう。

 発生から59年を経過した狭山事件の第3次再審闘争について、この間50回にわたる三者協議がひらかれるなかで、246点にもおよぶ石川一雄さんの無実を証明する新証拠が提出されている。4月には、証拠開示された取調べ録音テープ等によって、有罪認定の根拠とした警察官の証言が偽証であることが判明し、再審理由の追加申立書を提出した。犯行を否認する石川さんにたいして、「脅迫状を書いたことは間違いない」と決めつけた発言をくり返し、あげくには「供述義務がある」などと黙秘権も無視して自白を強要している実態が明らかになっている。さらに、今年は、弁護団から鑑定人尋問を裁判所に求める方針が決まるなど、再審開始への重要な局面を迎えている。

 2016年2月、鳥取ループ・示現舎が「復刻版 全国部落調査」と称して全国の被差別部落の所在地一覧の出版を予告するとともに、その電子データや「部落解放同盟関係人物一覧」と称して同盟員ら個人の住所や電話番号などのプライバシー情報を承諾なくインターネット上に掲載した、いわゆる「全国部落調査」復刻版出版事件について、昨年9月に東京地裁判決が言い渡された。

 判決は、「復刻版」の公表により結婚や就職で差別を受ける恐れがあるとし、「復刻版」記載41都府県のうち25都府県について出版差し止めとインターネット上でのデータ配布禁止や二次利用の禁止、原告の大半にたいして、合計488万円の損害賠償を認めた。

 基本的には、出版差し止めやインターネットへの掲載禁止、損害賠償を認めるなど評価できる部分はあるものの、差し止め範囲から16県が除外され、また、「カミングアウト」と「アウティング」の違いが認められないなど、部落差別の実態をふまえていないといわざるを得ない多くの問題をふくむものとなった。

 裁判は、「完全勝利」をめざし、控訴審に移ることとなった。青年活動でも学習を深め、多くの人々との連帯を拡大し、確信的な差別行為を許さず、「完全勝利」に向けてとりくもう。

 一方、鳥取ループ・示現舎のようにきわめて悪質で、居直りを続ける差別者の場合、人権救済制度が不備なために、民事裁判で訴えるしか手段がないことも大きな問題である。この間、「部落差別解消推進法」をはじめ「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「アイヌ施策推進法」など個別人権課題についての法的措置が実現した。それぞれの具体化と同時に、国内人権委員会設置を中心にした人権侵害救済制度の確立にとりくむ必要がある。差別禁止をふくむ包括的な人権の法制度確立に向け、連帯・協働のとりくみも強化しよう。

 今年は、全国水平社創立100年という大きな節目の年である。それまでの同情融和的な政策を拒絶し、部落民自身による自主解放の闘いをよびかけた全国水平社の訴えによって、全国各地に水平社が結成された。全国水平社は、当時の露骨な部落差別にたいする差別糾弾闘争を軸にしながら、部落差別を生み出す社会構造を変革する闘いへと発展してきた。

 これまでの部落解放運動のとりくみによって、かつてほど日常的に厳しい差別にさらされるということはなくなっている。しかし、進学や就職、結婚といった節目の場面で部落差別に直面するということも少なくない。また、とくにインターネット上には差別情報・意識がまん延し、確信的な人権侵害はあとをたたない。

 そうした人権意識の希薄さが露呈する現状だからこそ、部落解放運動にとりくむなかで、皆が仲間とのつながりや社会とのつながりを捉えなおし、たった一人にあらわれた困難も見捨てない、そうした青年部活動を構築していこう。

 第54回全高・第66回全青に結集しよう。

 この間、中央青年運動部会議を中心に全高・全青開催に向け議論がおこなわれてきた。自分たちが何をすべきか、何を学習するべきか、また、これまでのとくにコロナ禍でのとりくみにおける成果や課題をふまえつつ、開催に向け準備をすすめてきた。

 部落差別の現実を語り、そして、知る。差別のない社会を創造するために、自分たちが何をすべきか、仲間と力を合わすことの大切さや自分の生き方を確認する場が全高・全青だ。

 仲間たちと大いに語り合い、大いにきずなを深め、部落解放―人間解放の夢を語ろう。

 全国各地から高校生・青年の仲間が徳島に結集し、活発な意見交換や学習、実践交流をおこない、各地の運動の発展につなげていくことを期待する。各都府県連・支部において、多くの高校生・青年に積極的によびかけをおこない、集会の開催をかちとろう。

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