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控訴審で口頭弁論 〜「差別されない権利」を強調

「解放新聞」(2022.08.25-3037)

世論を高め、完全勝利へ闘い抜こうと団結を固めた(8月3日・東京)

世論を高め、完全勝利へ闘い抜こうと団結を固めた(8月3日・東京)

 「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の控訴審第1回口頭弁論が8月3日午後、東京高裁でひらかれた。一審原告から片岡副委員長と吉田樹(たつる)・北陸事務所事務局長、河村健夫・弁護士が意見陳述した。復刻版の出版などの差し止め範囲を25都府県に限定するなど、部落差別の実状をあまりにも理解していない東京地裁判決の問題点を指摘し「差別されない権利」を認める必要性を強調した。

 片岡副委員長(示現舎糾弾闘争本部事務局長)は、復刻版について▽公表自体が差別を助長・拡散する図書▽法務省が回収し焼却した「部落地名総鑑」と同じ内容▽すべて差し止めを、と強調して陳述。カミングアウトとアウティングの違いや、一審被告の悪質性も強調し「一審被告は部落差別の確信犯。一日も早くこの行為を確実に止めさせるような判断を」と訴えた。

 吉田事務局長は、地裁判決で差し止め範囲から除外された16県を代表して意見陳述。地裁判決が除外したことへの心配や怒りと、一審被告らの行為に誘発されたと考えられる差別被害、根強く存在する部落への忌避意識の実態、部落出身者が声をあげる難しさなどを強調し「声をあげることが困難な地域があることを、ぜひとも理解を」と訴えた。

 河村弁護士は、控訴理由書について意見陳述。▽「差別されない権利」を人格権の内容として認めるべき▽プライバシー権は現代的理解を▽戸籍と復刻版を照らし合わせて差別が起きている部落差別の実状理解を、と強調し、「地裁判決が確定すると部落差別の被害に怯えながらの生活を余儀なくされる。部落差別に苦しむ人が一人でもいなくなるよう審理を」と訴えた。

 一審被告は、Mが意見陳述。地裁判決を「超法規的」「部落差別につながる身元調査の方法を裁判所が発明」「とうとう司法も(同盟の)言いなりになった」とするなど荒唐無稽な主張による居直りに終始。また、「部落が特別な扱いをされている」という部落差別扇動とともに、その差別扇動を正当化するために「(同盟が)運動の維持や商売のために部落を利用してきた」からだと解放運動を誹謗中傷する、典型的な現代のヘイトスピーチの手法を使い、差別論文であるマーク・ラムザイヤー論文で主張を補強する差別者そのものの姿を露呈した。

 報告集会は、東京・弁護士会館でオンライン併用でおこない、22都府県から157人が参加。第1回口頭弁論の内容を報告して意見交換し、第2回口頭弁論へと世論を広げ、完全勝利に向けて闘い抜こうと誓った(4〜5㌻に掲載)。集会後、記者会見をおこなった。

 次回は11月17日の予定。

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