「解放新聞」(2023.02.15-3055)
「全国部落調査」復刻版出版事件裁判控訴審の第2回口頭弁論が2月1日午後、東京高裁でひらかれた。一審原告(以下、原告)、一審被告(以下、被告)の双方が意見陳述して結審した。判決は6月28日午後2時。
原告から、片岡副委員長(糾弾闘争本部事務局長)は、復刻版について①差し止め範囲を限定したこと②現住所や現本籍が掲載されていない原告への損害賠償を否定したことを中心に、部落差別の認識が不十分な東京地裁判決の誤りを指摘。復刻版は法務省が回収し焼却処分した差別図書『部落地名総鑑』と同内容、被告は判決後も差別動画などを流し続けていると、被告の悪質性を強調した。
弁護団からは、山本志都・弁護士が「部落差別の実相をみて判断を」と強調し、裁判資料さえも差別に悪用する被告と闘う原告の覚悟と、訴訟に立ちあがれない多くの被害者の存在、出身を隠す人の恐怖と不安、差別そのものの部落の地名リストをプライバシー権でしか見なかった地裁判決の誤りを指摘。高裁の判断は次世代がネット情報におびえず生きられるかの試金石、ほかの差別を争う事件にも大きく影響すると語り、差別されない権利、差別されずに平穏に生きる権利に正面から判断を、と訴えた。
被告はMが意見陳述。あいも変わらず「出版の自由がある」などの主張をくり返すほか、「部落出身を理由」とする「通常ではあり得ない特殊な損害賠償請求権」を地裁判決が認めたとして行政などへの「ゆすりたかり」に使われると語るなど、荒唐無稽な差別扇動を延々と展開した。
報告集会は日比谷図書文化館でオンライン併用でひらき、23都府県から175人が参加。西島委員長は、栃木県行政書士戸籍等不正取得事件をあげて部落差別の現実にたいする被告の悪質さを強調し、裁判の完全勝利と、インターネット上の差別根絶へ闘い抜く決意を語った。原告からは片岡糾弾闘争本部事務局長があいさつ。弁護団の指宿昭一、山本、中井雅人、河村健夫の各弁護士が順に報告し、1月10日に裁判長が土田昭彦・裁判長に交代したことも報告された。質疑応答後、赤井書記長が閉会あいさつし団結がんばろうをおこなった。司会は安田中執が務めた。
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