pagetop

NEWS & 主張

「推進法」具体化など求め 〜各地で県、市の行政と交渉
熊本・北陸・神奈川

「解放新聞」(2023.03.25-3059)

職員の意識調査求め(熊本県)

蒲島郁夫・県知事(左)に要求書を手渡した(2月1日・熊本市)

蒲島郁夫・県知事(左)に要求書を手渡した(2月1日・熊本市)

 【熊本支局】 県連は、熊本県交渉を2月1日、熊本市・県庁内でとりくんだ。県連から松永末廣・委員長など執行部と支部員の38人が、県からは蒲島郁夫・県知事、田嶋徹・副知事はじめ担当職員が出席した。

  県連は、▽部落差別解消に向けた今後の姿勢▽「条例」未制定・未改正の市町村へのはたらきかけ▽「部落差別解消推進法」具体化▽人権教育・啓発の徹底▽インターネット上での差別にたいするモニタリング・削除対応▽県職員・市町村職員の部落問題認識、など11項目を要求した。

 あいさつで松永委員長は、「昨年の意見交換会以降、多くの市町村での条例制定・改正が実現した。しかし部落差別は現存し、差別事象も報告されている。推進法、条例の具体化を」とひき続きとりくみの強化を求めた。蒲島知事は、「法、条例にもとづき、国、市町村、教育委員会と連携し、さまざまな手段手法を駆使して部落差別解消の推進へしっかりとりくむ」と決意をのべた。

 意見交換では、みずからの自治体の部落差別の現状を認識していない、また「条例」の改正などを知らない職員の実態があることが報告された。これにたいし、自治体職員の意識調査の実施を強く要求。蒲島知事は、その場で意識調査実施を職員に指示した。

 県連は県教委にたいしても▽部落差別の実態に関する調査実施▽児童生徒支援加配、人権教育主任をとりまく教育現場の環境整備▽教職員不足と多忙化の改善など16項目を要求。昨年は県教委にたいし、部落問題学習実施状況について調査を要求。今回、報告を受けた。県内すべての公立小中校でとりくみはおこなわれているものの、授業時間や内容・教材に差があることが明らかになった。

 不十分な回答も複数あったことから、今後も継続的な協議をおこなっていかなければならない。

「人権条例」制定を(福井県敦賀市)

 【北陸支局】福井県敦賀市との意見交換を、昨年12月22日午後、敦賀市・あいあいプラザでとりくみ、福井県連から山下敬太郎・委員長はじめ6人が、本部から池田、安田、髙橋の各中執が出席した。市からは、板谷福祉保健部長はじめ11人が出席した。意見交換では、前回に続き「部落差別解消推進法」をふまえた「人権条例」制定の実現へ具体的・実効的なとりくみの推進などをあらためて要請した。

 議題は、①人権啓発・研修の推進②人権意識調査実施③人権施策推進本部会議の開催状況④企業の公正採用選考人権啓発推進員の組織化⑤地域ごとの市民啓発の組織づくり⑥登録型本人通知制度の導入⑦「人権条例」制定、について。

 ①では、2021年から市内の小学6年生を対象に部落問題の人権出前講座を実施。22年度には市職員対象の被差別当事者の声を聴く研修実施と報告。②では、来年度の実施を検討中との回答に、「調査結果の施策反映の視点をもち実施を」と強調した。③はこれまで3回の実施が報告されたが、いずれの回でも「人権条例」については議題にも取り上げられていないことが明らかになった。④、⑤では昨年5月交渉と同様の回答に終始した。

 ⑥では栃木県行政書士による戸籍謄本等不正取得について市の確認状況を質問。はじめての出席となった市民課(戸籍担当)からは「ありません」との回答がなされた。本人通知制度導入は「計画はない」とした。それにたいし、まずは要綱づくりを、と市の姿勢を指摘。全国的な不正取得事件の実態や各地自治体のとりくみなど実態の把握を早急にとりくむよう求めた。

 ①では「啓発活動を継続、人権意識醸成を図っていくことが先決」とする市にたいし、「条例にもとづいて施策をすすめることが大事」と強調。庁内本部会議での議論を求めた。

基本認識を指摘(神奈川県)

 【神奈川支局】県連は、昨年11月21日に県交渉を横浜市・シルクセンター大会議場でとりくんだ。県連からは根本信一・委員長はじめ13人が参加した。県からは、本間健志・共生推進本部室長はじめ10人が出席。23年度要求項目について県から口頭での回答を受けた。県の回答のなかでの「いまだに結婚差別が…」という部分について根本委員長が厳しく指摘、県は部落差別にたいする基本認識が不十分だった、と認めた。

 県の「人権条例」については、22年度改定の「人権指針」にもとづき施策実施と回答。「神奈川県当事者目線の障害福祉条例」(22年10月公布)について、条例の理念は人権全体の課題に通ずると説明。県連からは「条例は障害者の自己決定の尊重など重要な点が含まれている。これをステップに人権条例制定を」と求めた。意識調査について、あらためて実態調査の重要性を強調し、実施を要請。人権教育・同和教育、職員研修などについても議論した。

 

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)