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ネット上の部落差別 法規制を
香川・大阪

「解放新聞」(2023.05.05-3063)

インターネット上の部落差別動画や差別書き込みのモニタリング、削除要請が各地でとりくまれている。香川の行政のとりくみ、京都の法務局交渉を掲載する。

県と市町が要請

 【香川支局】 インターネット上に特定の地域を「同和地区」として適示する差別書き込みの削除に向けて香川県と県内8市9町がプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会にたいし2月14日づけで要望書を提出した。知事・市町長の連名で出された要望書では、県内6市2町で確認された事例を示すとともに、ネット上の部落差別情報の削除に向けた市町のとりくみ内容を示すとともに、ネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会がとりまとめた報告書などにもふれた。そのうえで、差別や人権侵害を受けた被害者が適切かつ迅速に救済されるよう、協議会の自主規制の強化に向けたガイドラインの見直し、その遵守について主体的な役割を果たすよう求めた。

 また、3月1日にはオンラインでの意見交換会もとりくみ、およそ2時間かけ実効性ある対策の実現へ議論を深めた。県からは豊嶋貴子・総務部次長、川原一敏・人権・同和対策課長、県8市9町人権・同和対策連絡協議会の幹事として観音寺市の近藤知章・人権課長などが参加。協議会からは、ガイドライン作成にかかわった実務担当者2人が参加。意見交換ではグーグル社が動画投稿サイトYouTubeから鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」に関する動画およそ200点を一斉に削除したことに関する認識を確認。また、総務省の誹謗中傷・有害情報への対策に関するワーキング・グループでの検討状況など、さまざまな議題について討議をおこなった。

法務局の姿勢問う

 【京都支局】 京都府連は、インターネット上の部落差別情報削除に向け、京都地方法務局との意見交換会・局長懇談会を3月16日、京都市の地方法務局内でとりくんだ。意見交換会には府連からは12人、地方法務局から6人が出席した。

 府連からは、ネット上の差別情報について、通報・申告を待たず局が削除要請をおこなうといった積極的な対応を、と要請。これにたいし国の機関が通告・申告なしに調査をおこない削除要請をおこなうことは公権力による表現の自由の抑圧になりかねない、と回答。差別動画などの拡散や模倣を抑止するため発信者個人を特定し注意喚起をおこなう必要性については「局に権限はない」とした。

 一方で「部落探訪」動画200点をYouTubeから一斉削除したグーグル社の対応については、法務省とグーグル社との関係構築のうえで実現できた点を強調。ネット上の差別問題は法律的には新しい課題であるとしながら「鳥取ループ裁判など判例の積みかさねに期待している」とした。相談体制整備・充実については、相談機関としての法務局の認知度の低さを認めたうえで、相談機関としての周知や相談への対応能力向上への研修実施が報告された。

 懇談会は、府連から西島藤彦・委員長ら役員、局からは新宮高明・局長らが出席した。西島委員長がネット上の差別対策への前向きなとりくみを求めたのにたいし、新宮局長は「子どもへの影響が懸念されるネット差別は最優先にとりくむべき」との認識を示すも、「まずは啓発に努める」との返答にとどまった。これに西島委員長は、「動画などを削除された投稿者からの訴訟の恐れがあることからプロバイダは差別動画の削除に踏みきれない。国の機関がそのリスク引き受ければ差別動画は削除できる」とのべ、よりふみ込んだ局の対応を求めた。

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