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滋賀県での全国高校生集会・全国青年集会の成功を

「解放新聞」(2023.06.15-3067)

 昨年は、全国水平社創立100年という大きな節目の年であった。全国水平社の闘いは、それまでの同情融和的な政策を拒絶し、当時の露骨な部落差別にたいする糾弾闘争を軸にしながら、部落差別を生み出す社会を変革する闘いへと発展してきた。そして、部落民自身による自主解放の闘いをよびかけた全国水平社の訴えによって、全国各地に水平社が結成された。

 今後の部落解放運動の発展に、青年ら若者の結集は不可欠だ。各地の水平社の多くは、青年らが結成の原動力となり、勉強会や互助会、創立相談会などが立ち上がり、結成へといたった。私たちは、先人の闘いの歴史を受け継ぎ、全国の仲間とともに部落解放運動を大きく前進させていかなければならない。

 8月19〜20日、第55回全国高校生集会・第67回全国青年集会を滋賀県で開催する。全国の仲間と学習・交流を深め、青年運動の発展につなげる集会としよう。

 いまだに収束しない新型コロナウイルス感染症拡大は、世界的な貧困、格差の問題をより深刻化させている。不安や不満の高まりが安易に差別・排外主義に結びつき、差別や暴力、ヘイトクライム(増悪犯罪)が続出し、インターネット上でも差別情報が氾濫している。私たちは、差別と暴力を公然と扇動する差別・排外主義と対決し、差別糾弾闘争を強化するとともに、一刻も早い、差別禁止をふくむ包括的な人権の法制度確立に向けとりくまなければならない。

 長期化するウクライナ侵略戦争は、国連決議などロシアにたいする厳しい非難にもかかわらず、被害は甚大化の一途をたどっている。さらに、戦術核配備など国際社会との分断と対立がいっそう深刻化している。

 一方、岸田政権は、ウクライナ侵略戦争や米中対立の激化による台湾有事を口実に、憲法違反の敵基地攻撃能力の明記をふくむ「安保3文書」の閣議決定を強行し、憲法改悪や、軍事費増大とその財源確保のための大増税をすすめようとしている。

 また現在、参議院で「入管法」改悪法案が審議されているが、これとほぼ同じ改悪法案は、21年にも国会へ提出されており、同年に名古屋入国在留管理局に収容されていたスリランカ出身者が死亡した事件を大きなきっかけとして非難が噴出し、廃案となった経緯がある。必要な医療を提供せずに死亡させたとして現在、遺族が国に損害賠償を求める訴えを起こしている。改悪法案では、難民申請が3回目以降の場合、「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ難民申請中でも強制送還を可能としている。暴力や迫害から逃れて日本にきた人々を、命を落とす可能性が高い国に強制送還することは許されない。

 これまでにも、難民認定率の低さや収容の長期化、入管による非人道的な言動、さらには暴力など多くの問題が指摘されている。そういった公権力による差別的処遇の横行を支えているのが、外国にルーツを持つ人びとを犯罪者であるかのように吹聴するデマや、そういった人には何をしてもよいとでもいうような差別意識だ。現在、「入管法」改悪に反対する集会やデモが各地でとりくまれるなど、多くの人びとが声をあげている。

 偏見や差別を放置すれば、かつての関東大震災朝鮮人大虐殺というような悲劇をくり返しかねない。また、全国水平社は、アジアへの侵略戦争に突きすすむ社会情勢のなかで、厳しい弾圧により戦争協力を余儀なくされた。そういった苦痛の歴史をふまえ、改憲策動や差別と戦争に反対する闘いを全力ですすめていかなくてはならない。

 2016年2月、鳥取ループ・示現舎が『復刻版\ 全国部落調査』と称して全国の被差別部落所在地の一覧の出版を予告するとともに、そのデータや「部落解放同盟関係人物一覧」と称して同盟員らの名前や住所などの個人情報を承諾なくインターネット上に掲載した、いわゆる『全国部落調査』復刻版出版事件について、6月28日に高裁判決が出ることとなった。

 地裁判決では、「差別されない権利」や「復刻版」記載の41都府県中16県の地域について差し止めが認められず、さらに、「カミングアウト」と「アウティング」の違いが考慮されず、被害が認められない原告がいるなど、多くの問題があることは明らかだ。

 裁判は上告審(最高裁)にうつることが予想されるが、この裁判は、たんに「復刻版」の出版禁止を求めるだけでなく、「差別されない権利」を確立する闘いであり、インターネット上の差別にこの社会がどう向き合っていくのかを問う裁判でもある。

 裁判闘争の完全勝利をめざすとともに、青年活動でも学習を深め、確信的な差別行為を許さず、多くの人びととの連帯にとりくもう。

 狭山事件では、昨年8月に弁護団が鑑定人尋問とインク鑑定の実施を求める「事実取調請求書」を提出したことで、事件発生から60年の長きにわたって闘ってきた狭山第3次再審闘争が、いよいよ大詰めを迎えた。「事実取調請求書」は、万年筆や脅迫状の筆跡・識字能力の有無、指紋の不存在、目撃証言など、これまでに提出された石川一雄さんの無実を証明する新証拠の鑑定や意見書を作成した11人の科学者・専門家の証人尋問を求めるとともに、万年筆のインク問題について直接、裁判所が鑑定を実施するよう求めるものだ。万年筆のインクについて、弁護団が提出した鑑定は、被害者が当日使っていた万年筆とインク瓶からはクロム元素が検出されるが、当時の石川さん宅から発見された万年筆からは検出されないことを科学的に明らかにしたものである。

 袴田事件について、3月に東京高裁が再審開始を決定し、東京高検が最高裁への特別抗告を断念したことから、再審の開始が決定した。東京高裁は、犯行時の着衣とされた証拠「5点の衣類」について、「捜査機関の者が隠匿した可能性が極めて高い」と指摘し、「証拠の捏造(ねつぞう)」と判断した。狭山事件でも、発見の経過からしてきわめて疑問のある万年筆など、証拠捏造の疑いや自白の強要があったことは明らかになっている。鑑定人尋問とインクの鑑定をかちとり、なんとしても再審開始を実現させよう。

 また、部落解放運動に携わる若年層の減少や、事件発生から60年という長い年月などを背景に、全高・全青集会参加者の感想などでも見られるように狭山事件を知らない若者も少なくない。そういった人もふくめ、部落差別にもとづく権力犯罪であるえん罪・狭山事件を訴え、「石川無実」の世論を広げよう。各地で集会や学習会、情宣行動、署名活動などを展開し、再審開始をかちとるために全力でとりくもう。

 第55回全高・第67回全青の開催に向けて、各地域での活動を強化・拡大しよう。また、開催をきっかけにオルグや事前集会にとりくみ、自主的な参加を促すとともに、多くの高校生・青年の結集をよびかけよう。

 この間、全高・全青総括会議や全国青年運動部長会議などをひらき、活動交流や全高・全青集会開催に向けた議論をもった。そのなかでは、分科会の数やテーマ設定、参加者のニーズ把握、参加者が減少するなかでの集会形式など、多くの課題が検討されてきた。自分たちがやりたいこと、仲間に伝えるべきことなどをふくめ継続して議論していくとともに、そうした各地域における議論や活動の集大成としての一面を確認し、全高・全青集会に参加しようではないか。

 全国から多くの高校生・青年が結集し、実践交流や意見交換をおこない、交流を深め、各地域の青年運動の発展につながることを期待したい。大いに語り、大いに絆を深め合おう。都府県連・支部、青年部において、多くの高校生・青年に結集をよびかけ、滋賀県での全高・全青集会の成功をかちとろう。

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