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主張

 

軍拡・増税の流れを止め、平和憲法を守り反戦・平和のために闘い抜こう

「解放新聞」(2023.08.15-3073)

 岸田首相は6月の通常国会閉会の記者会見で「政府として提出した予算及び今国会への内閣提出法案60本中58本が成立するなど、過去10年の通常国会と比べてみても、高いレベルで堅実な成果を残すことができました」とのべた。しかし「LGBT理解増進法」「改正入管法」を問題への十分な議論なく成立させた。さらに、戦争ができる国にする「安保関連3文書」の閣議決定をふまえ、5年間で43兆円という防衛費確保へ「防衛財源確保法」を反対を押し切り成立させた。一般会計に防衛力強化資金を創設し、収入を貯めて複数年度で使えるよう定める法律だ。税金以外の収入は国有財産の売却や特別会計からの繰り入れ金などで、その他の財源が歳出改革と一般会計の剰余金、そして増税だ。一般会計決算剰余金は、半分は借金に充てるルール。残り半分は近年は経済対策の財源に使われてきた。これが防衛費に回れば暮らしや生活に必要な政策の財源が不足し、借金増加の懸念もある。大問題だ。

 平和とくらし、民主主義が軽視される政治状況の転換へ、反戦・平和、人権確立のとりくみを強化しよう。

 6月23日は、78年前の沖縄で旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日。沖縄県は「慰霊の日」とし、「沖縄全戦没者追悼式」を糸満市の平和祈念公園で開催してきた。平和のいしじには、国籍や、軍人、民間人の区別なく沖縄戦などで亡くなった24万人あまりの名前が刻まれている。いまなお判明する人も多く、今年も新たに365人が刻まれた。沖縄戦はいまも終わっていない。追悼式で、平安名へいあんな 秋さんが、平和の詩「今、平和は問いかける」を披露しているので紹介する。

夏六月
溶けかけたアイスを手に走り出す
緑萌ゆるこの島の昼下がり

礎に刻まれた「兄」に
まるであの日のように
そっと触れるおばぁの涙は
陽炎が登る摩文仁の丘に
ただ果てしなく広がっていく

その涙は体を包み込み
私を「あの日」へといざなう

限りないこの空は
何を覚えているのだろう
涙に満ちたおばぁの瞳は
何を語りかけているのだろう

七十八年前の
あの日
あの時
かけがえのない
たったひとつの命が
憎しみと悲しみの中で
散っていった

名も無き赤子の
微かな
微かな泣き声は
震える母の手によって
冷たく光の無いガマの中で
儚く消えていった

幾多もの砲弾が
紺碧の海を黒く染める鉄の嵐となって
この島に降り注いだ

戦争が起きる前
そこには日常があった

私達と同じように
原っぱを駆け回り
友達とおしゃべりをする
みんなで暖かいご飯を食べ
時には泣き
時には笑い
時には「ありがとう」を伝える

そんな今と変わらない日常が
平和が
そこにはあった

平和は不確かで
脆く崩れやすい
いつもすぐそばにあるのに
いつのまにか消えていく

おばぁの涙は
摩文仁の丘に永遠(とわ)に灯る平和の火は
今、私達に問いかける

平和とは何かを
私達に出来ることは何かを

私は過去から学び
そして未来へと語り継いでいきたい
おばぁの涙を
沖縄の想いを

かけがえのない人達を
決して失いたくはないから

今日も時は過ぎていく
いつもと変わらずに

先人達が紡いできた平和を
次は私達が紡いでいこう

そして世界に届けていきたい
平和を創り
守っていく
この沖縄の「チムグクル」を

 いまだ終わっていない戦争。その惨劇を継承し、反戦・平和のとりくみを強化しなければならない。

 5月、広島でのG7サミットで首脳らは平和記念公園の慰霊碑に献花し、被爆者の声に耳を傾け、広島平和記念資料館を視察し「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を発表した。しかし、手放しで評価できる内容ではない。まず平和記念資料館視察にはメディアの館内取材を認めなかった。核兵器のない世界を究極の目標とする「広島ビジョン」も、核兵器廃絶の実効的な道筋を示さず、「全ての者にとっての安全が損なわれない形で」「責任あるアプローチを通じて」など先送りの言葉を並べている。「核拡散防止条約」(NPT)を基礎とすると強調するが、過去のNPT合意文書にあった「核兵器廃絶」の約束はなく「核兵器禁止条約」に触れていない。落胆と批判が広がっている。

 敗戦78年、平和フォーラム主催の「戦争犠牲者追悼、平和を誓う8・15集会」が千鳥ヶ淵戦没者墓苑でひらかれる。戦後生まれは人口の8割超。世代交代がすすむなか、戦争の悲惨さ、平和の大切さと真剣に向き合い、どう継承するかが大きな課題だ。「戦争をさせない1000人委員会」や「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」に参加し、核と戦争のない平和な21世紀を実現しよう。すべての市民と連帯し「戦争法」廃止、平和憲法改悪阻止に全力でとりくもう。

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