「解放新聞」(2023.09.15-3076)
【滋賀】 全国部落史研究会は第16回総会と第27回研究大会を8月5、6日に滋賀県近江八幡市の近江八幡市勤労者福祉センターでひらいた。総会には37人、研究大会初日には80人が参加した。2日目の午後からの近江八幡市のフィールドワークには27人が参加。研究大会では、記念講演のほか、前近代と近現代それぞれをテーマに報告があった。
大会に先だっておこなわれた総会では2023年度の活動計画、役員体制などを決めた。主催者あいさで朝治武・代表は「現状の課題解決のために部落史研究と部落解放運動や人権教育を連携するとりくみをめざしたい」とのべ、昨年までとりくんだ和歌山県立図書館の71冊の所蔵資料利用制限問題へのとりくみなど社会的発信の活動についても強調した。
開催地からは丸本千悟・滋賀県連書記長があいさつし「全国水平社創立メンバーの南梅吉の生まれた近江八幡市。権力の厳しい監視・弾圧のなか1924年に県水平社が結成。歴史研究がいっそう必要だ」とのべた。つづいて、県総合企画部から三輪真也・理事員、近江八幡市から小西理・市長があいさつした。
研究集会の記念講演は、奈良大学文学部史学科の井岡康時・教授が「部落問題の地域性―『滋賀の同和事業史』から考える―」と題し、戦後の滋賀の部落解放運動と同和対策・同和事業の変遷について隣保事業の特徴点をふまえ報告。2日目は世界人権問題研究センターの小林ひろみ・嘱託研究員が「近世京都の市街地近郊の被差別民―大仏柳原庄の場合―」を、天理大学の奥本武裕・講師が「部落改善運動の歴史像―それは、部落「改善」運動か?―」をテーマに報告し、質疑応答・意見交流した。
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