pagetop

NEWS & 主張

国内人権機関を求めシンポ 〜ヒューライツ大阪など3者が共催
大阪

「解放新聞」(2023.10.25-3080)

韓国国家人権委員会委員、国連女性差別撤廃委員会委員等を歴任、国内と国際社会での人権保障に尽力する申蕙秀さんは参加者の質問にも答えた(9月10日・大阪市)

韓国国家人権委員会委員、国連女性差別撤廃委員会委員等を歴任、国内と国際社会での人権保障に尽力する申蕙秀さんは参加者の質問にも答えた(9月10日・大阪市)

 【大阪】 SDGs採択8周年国際シンポジウム「日本に国内人権機関を、そして国際基準の人権保障を!」が9月10日午後、大阪市内のドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)でひらかれた。二つの基調講演とリレートークからなるプログラムに、対面・オンライン170人が参加した。アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、SDGs市民社会ネットワーク、関西NGO協議会による共催。

 主催者を代表してヒューライツ大阪の三輪敦子・所長があいさつ。「国内人権機関は約120の国・地域で設置されているが、日本にはない。SDGs=持続可能な開発目標の16「平等と公正をすべての人に」の指標にも入っており、認知度が高まりつつある。世界人権宣言75周年、SDGs中間年にあたる採択8周年の今年、私たちが手にしていない包括的差別禁止法、個人通報制度、国内人権機関、の国際的人権基準への三つの扉をひらくための理解と気運を高める機会にしたい」とのべ、基調講演の講師二人を紹介した。

 まず弁護士で日弁連国内人権機関実現委員会副委員長でもある藤原清吾さんが、「国内人権機関と日本国内におけるこれまでの動き」と題して、つぎに韓国国家人権委員会委員で韓国の国連人権政策センター理事長でもある申蕙秀(シン・ヘス)さんが「国家人権委員会と人権保護 韓国の経験を中心に」と題して基調講演をおこなった。

 後半のリレートークでは、性的マイノリティに関して弁護士で「結婚の自由をすべての人に」訴訟関西弁護団の森本智子さん、子ども、ビジネスと人権に関してセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドボカシー部部長の堀江由美子さん、部落差別に関して部落解放同盟大阪府連合会書記長の髙橋定さんが登壇し、ヘイトスピーチ、入管問題に関してフォトジャーナリストの安田菜津紀さんがビデオメッセージを寄せた。

 基調講演で藤原さんは、国連人権理事会の作業部会が日本で調査したのはジャニーズ問題だけではなく、公権力によるものを含め種々の人権侵害の実態だったと前置き、来年には正式な報告書が出されるが、国内人権機関の設置はこれまでから勧告されてきたと指摘。司法だけでは不十分な人権救済機能に加え、政策提言機能、人権教育機能をもつ国内人権機関を求める市民の運動が重要だと強調した。申さんは、韓国の民主化運動のなかで1993年の金泳三(キム・ヨンサム)文民政権発足から、市民運動と政府・国会の協力による韓国国家人権委員会(国内人権機関)発足までの過程、設置後の独立性をめぐる攻防などを語った。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)