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焼き肉丼など約130食を提供 〜珠洲市内で京都府連が炊き出し
京都

「解放新聞」(2024.06.25-3105)

炭火で焼いたフランクフルトの前には長蛇の列ができた(4月18日・石川県珠洲市)

炭火で焼いたフランクフルトの前には長蛇の列ができた(4月18日・石川県珠洲市)

正福寺で炊き出し

 京都府連では、義援金などを集めて能登半島地震被災者の支援にとりくんできたが、被災状況の長期化から、直接の支援が必要だとして現地での炊き出しをおこなうことを決めた。13年前の東日本大震災直後に、宮城県気仙沼市内で炊き出しをおこなった経験から、人権センターHORIZONに現地コーディネートを要請し、協働でとりくんだ。

 炊き出しは、千葉県人権センターの友兼善治さん(珠洲市出身)の紹介で、友兼さんの実家が檀家となっている正福寺の篠原暢(みつる)・住職の全面的な協力を得て、寺の境内でおこなった。正福寺本堂は地震で瓦が落ちて大規模に雨漏りし、使えない。鐘撞堂は倒壊寸前になった。境内の枝垂れ桜は天然記念物に指定され、地震にも負けず見事に咲いたが、訪れた日には花はわずかに残るだけだった。

特別に注文した国産牛を使った焼き肉は「こんなにおいしいお肉は初めて」とまで言われた(4月18日・石川県珠洲市)

特別に注文した国産牛を使った焼き肉は「こんなにおいしいお肉は初めて」とまで言われた(4月18日・石川県珠洲市)

大好評の焼き肉丼

 炊き出しには府連の平井斉己(としき)・書記長(現・府連委員長)ら8人が参加。

 メニューは夕食向けに焼き肉丼、フランクフルト。断水が続いているため、無洗米を炊くことにした。翌日の朝食用として持ち帰れるよう、食パンとジャムも150食分を用意した。

 さらに、避難所内では酒類が制限されていることから、避難者のせめてもの息抜きのために酒類も提供したい、との篠原住職の要望で、缶ビールや京都の地酒も用意した。訪れた被災者は炊き出しやお酒に舌鼓を打った。

 メンバーは金沢市に集合し、市内で道具や食材を仕入れてトラックとワゴン車2台で珠洲市へと向かった。のと里山海道は崩落のため片側通行が続くなか、約3時間半かけて炊き出し会場の正福寺に到着した。

 手際よく設営をおこない、15時過ぎには第一弾の焼き肉が仕上がった。肉は特別に注文した国産牛。

 「温かい焼き肉は久しぶり。絶妙の味つけで、とてもおいしかった」

 試食した被災者から思わず笑顔がこぼれた。炭火で絶妙の焼き加減のフランクフルトも大好評。

 この日は、正福寺近隣の在宅避難者のほか、若山町付近の指定避難所2か所、自主避難所2か所からも来た人々で16時過ぎには行列ができ、17時半までに、およそ130食を配布した。残った食材は正福寺に寄付した。

 遠方に二次避難した家族も訪れ、久々に地元に戻った中学生が「やっぱり友達やみんながいる地元に帰りたい」と涙を浮かべた。

 また、部活で炊き出しに来られなかった別の中学生は、避難所で焼き肉丼を食べて、「こんなにおいしいお肉は初めて」と喜んでいた。この子の家族は仮設住宅の抽選に外れて落ち込んでいたが、炊き出しに元気づけられた、という。

長期的な支援を

 周辺では仮設住宅の建設もすすんではいるが、数はまだ足りていない。半壊、一部損壊の場合は仮設住宅に入居できないため、壊れた自宅での在宅避難生活を余儀なくされている被災者も多い。長期的な支援が不可欠だ。

 

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