「解放新聞」(2024.08.05-3109)
【新潟】 「部落探訪」新潟訴訟の第1回口頭弁論が、被告の鳥取ループ・示現舎の裁判官忌避申し立てにより取り消しとなったことから弁論予定日の5月24日、新潟市の新潟地方裁判所構内の弁護士会館で「「部落探訪」削除裁判新潟訴訟 第1回公判取り消し真相報告集会」をひらいた(3104号既報)。集会では、第1回公判取り消しの経過とともに、新潟地裁に鳥取ループ・示現舎が起こした情報開示請求訴訟についても報告された。
経過を報告した上野祐(たすく)・弁護団事務局長は、裁判は県内15地域をさらした動画・文章を掲載したおよそ30のウェブページの削除を求め1月に提訴。口頭弁論までの手続きでは住所や被差別部落の所在地情報の閲覧等制限申し立てなど調整し、第1回口頭弁論まで4か月を要した。被告は4月19日付で横浜地裁への裁判の移送を申し立て。弁護団は県内での被害であることから反論の意見を提出し、5月13日付で地裁が移送申し立てを却下。被告は即時抗告し、14日付で裁判官忌避を申し立てた。忌避申し立ては、担当する裁判官が公平な裁判ができないと疑われる事情があるときに裁判体を変えよ、と要求するもの。被告は裁判資料の閲覧制限をおこなう裁判体で公平な裁判ができるとは思えない、といった趣旨の申し立てをおこなったと報告。
弁護団は秋以降の開廷が見込まれる第1回口頭弁論に向け、これまで新発田市や胎内市など自治体首長による法務局への削除要請のとりくみもまとめて準備書面を提出していきたい、と今後の方向を示した。
つづいて、近藤正道・副団長が、被告がおこした県教育委員会への情報開示請求訴訟を報告。昨年2月に被告は新潟県連と県教委の交渉内容について情報開示請求。県連はこれまでの被告の差別行為などを理由に公開に反対する意見書を提出したが、委員会は一部分を公開した。県連は即日審査請求(不服申し立て)・一部公開の執行停止を申し立て、教育委は一部公開を執行停止し、県情報公開審査会に諮問し、審査がはじまった。この裁判の第2回口頭弁論(前日23日)は出席し、きょうの口頭弁論は忌避したことからも裁判への姿勢がよくわかる。この二つの裁判を、当事者がとりくんできた新潟の部落解放運動を守り、県内での差別を許さない運動や教育をさらに広げていく、という展望を持った闘いにしよう、とよびかけた。
原告のひとりである長谷川サナエさんは、「ネット上に名前や会社名・所在地をさらされ、きょうも「気を引きしめて」と社員によびかけてきた。しかし、なぜこんなことを社員に強いなければならないのか」と涙ながらに訴え。つづけて「多くの仲間の支援に支えられながら家族や従業員の命を守るために闘っていきたい」と決意を語った。
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