「解放新聞」(2024.11.05-3118)
寺尾不当判決50ヵ年糾弾集会にご参集下さり、ありがとうございます。
今年は袴田事件の証拠ねつ造を認めた再審無罪判決が出たこともあって、「次は狭山」との強い思いも加わり、私、石川一雄は、闘魂と希望に燃え、今日を迎えさせて頂いた次第であります。
袴田さんの再審無罪判決は当然の事乍(なが)ら、東京拘置所に居る頃のイワちゃんは「シャバに出たらまたリングに上がるんだ」と毎日のようにシャドウボクシングをしており筋骨隆々でありました。今は年齢の関係や、「死刑囚」という中での長い不当な拘禁生活によって、当時の面影はありませんが、とにかく何時いつまでも元気で長生きしてもらいたいと願わずにはいられません。
私が無罪になった暁には、誰にも干渉されることなく、自由に二人であちこちに行きたいものです。
50年前の不当判決を思うと、怒りが込み上げてきますが、他方、取り調べ過程に於(お)いて、長谷部警視は、目の前に在る4〜5個の湯飲み茶わんを私に触らせ、それを嗅いで当てるという手品まがいの芸当をし、それにまんまと騙(だま)され、感動した私自身の馬鹿さ加減が、今もなお腹立たしく、無念でなりません。「目は口ほどにものを言う」との諺(ことわざ)どおりであり、何もかも私の無知のなせるわざであり、それにつけ入った取り調べがあったわけです。
袴田事件の無罪判決は、「肉体的・精神的苦痛を与えて供述を強制した」として「自白調書をねつ造」と断じましたが、私の取り調べもまったく同じです。一方的に、「脅迫状を書いたことは間違いない」と決めつけて、私が「書いてない」「書けない」と何度言っても聞き入れてくれないのです。
過去を振り返ると苦しいことばかりですが、今は、ただ只管(ひたすら)前を向き、鑑定人尋問、再審開始を勝ち取ること、また、特に再審における証拠開示の保障や、検察官上訴の禁止等、再審法を変えさせていく闘いも急務です。
今は体力は落ちていますが、私の闘魂は衰えることはありません。
「3次の次はない」との決意で闘い抜きます。
闘いの中でまた皆様と元気で出会えますことに心から感謝し、私の挨拶と決意に代えさせていただきます。
再審に燃え 昭和 平成 令和の中 岩窟の我 老いを生き抜く
2024年10月31日
石川 一雄
狭山支援者各位
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