「解放新聞」(2025.1.25-3126)
【富山】 富山県、富山労働局との交渉を昨年11月28日、富山市の県民会館、労働局内でそれぞれおこない、富山県連、富山解放連の菊池正人・会長、北陸事務所のほか、中央本部から池田、大西、髙橋の各中執など12人が参加。富山県交渉では、佐度清・県民生活課長はじめ関係部局から15人が出席した。
交渉では、①「富山県人権啓発・教育に関する基本計画」②インターネット上の人権侵害③戸籍等不正取得問題④部落問題研修、などで意見交換した。
①では、2023年に県が実施した「人権に関する県民意識調査」をもとに、25年3月の改訂に向けてパブリックコメントを募集していると回答。意識調査で、部落問題に関して「わからない」が35・9%でもっとも高い結果だったことについて、県は「啓発を続ける」と説明し、同盟側から、「実効性のある計画策定のため、当事者が今日的な課題を提起する必要がある」と指摘。県は「パブリックコメントで各当事者団体の意見を聞く」と回答した。
②について、「インターネット上の差別書き込みが差別を助長する」「意識調査でも市民の関心が高い」と見解を示したものの、モニタリングは月1回程度、1時間の実施で、この数年削除要請するような事案はなかったと回答。同盟側から、「モニタリングにあたり、人権侵害にあたるかどうかの基準を明確にすることが重要。また、市町村のモニタリング事業を補助するなど連携してモニタリングを拡大していくとりくみが必要」と求めた。
③では、22年に発覚した石川県の行政書士による不正取得事件(3045号既報)について、3市4件の被害があったと報告。市町村にたいし本人通知制度導入を促していると回答した。しかし現在も導入している自治体はなく、工夫したとりくみを求めた。
④では、教職員が部落問題について知らなければ授業もできない、現状把握のための意識調査が必要と強く求めた。県も「研修の効果をみることは必要。研修後のアンケート調査を活用できるか検討する」と回答した。
このほか、公正採用選考や差別事象が起こったさいのマニュアルづくりなどについても実効性のある施策を求めた。
富山労働局との交渉では加藤弘之・職業安定課長はじめ4人が出席。公正採用選考人権啓発推進員の設置状況や未設置事業所への指導、高校生および大学生への就職試験実態調査などで意見交換した。
推進員の設置状況について、従業員数が100人以上は100%、100人未満も70%が設置しているものの、採用選考時に違反が発覚している企業もあったと回答。同盟側は、推進員と採用担当者が違う企業も多いと指摘、研修内容の充実とあわせて企業にたいする啓発やトップ研修実施のほか、研修への参加率を上げるとりくみを求めた。
県内および県外から違反報告があった企業にたいしては、管轄のハローワークが訪問指導をおこない、県外の企業にたいしても管轄のハローワークに指導を依頼していると回答。しかし富山県では、高校生にたいする就職試験実態調査結果を、学校現場が「違反と認められる」もののみ報告していることを同盟側が指摘、これでは実態がしっかりつかめないことから、全票回収の早期実現をあらためて求めた。
また、大学生に関しては「キャリアセンターに事案を報告するよう求めているが、把握がむずかしい」と回答したため、学生へのアンケート調査などの実施も求めた。
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