「解放新聞」(2025.1.25-3126)
【福井】 敦賀(つるが)市交渉を昨年11月22日、敦賀市立図書館でおこない、福井県連の山下敬太郎・委員長、河合徹・書記長はじめ支部の代表、中央本部から大西、池田、安田の各中執が参加した。敦賀市からは中野義夫・福祉保健部長はじめ関係部署から10人、福井県から大西典宏・地域福祉課人権室長ら3人が出席し、23年度に市が実施した「人権問題に関する意識調査」の結果などを中心に意見交換した。
意識調査は、住民基本台帳から無作為抽出した18歳以上の市民2000人に調査票を郵送し、返信用封筒またはウェブで回答を送るもので、回収率は34・9%。調査項目は県や近隣の自治体の事例を参考に設定し、各項目について性別と年代別でそれぞれ集計した結果が報告された。
部落差別に関する項目では、半数程度が「ある程度は知っている」としたものの、「ほかの地域での問題」、「過去の問題である」などの回答が多く、また若年層はほぼ「よく知らない」または「知らない」との回答。この結果について、市は「自分事として考えられるような啓発が必要」との見解を示し、学校教育および社会教育をすすめたいとした。
このほか①市職員への人権研修②人権教育推進のための教員の自主的組織③人権施策推進本部会議の強化④公正採用選考の推進⑤モニタリング⑥人権条例の制定、などについて回答があった。
戸籍などの不正取得に関する本人通知制度については、現在、近隣の事例を研究しながら策定に向けたとりくみをすすめているとしたものの、「条例」については「市民および議会の理解が必要であり、市民の意識の醸成が必要」と消極的な回答。同盟側から、「これまでのとりくみで意識を変えられなかったことが調査結果にあらわれているのではないか」「この数十年のとりくみが問われている。市職員や教職員の人権水準を高めるための積極的な施策が必要」「啓発予算を増額して実効性のあるとりくみを推進すべき」「市の姿勢を明確にするためにも条例制定を検討することが必要」などの意見が出された。
市は「市民に伝わっていなかったことをふまえ、組織体制について考える必要がある」とし、条例制定についてもひき続き検討するとした。
山下委員長は、「市の「基本方針」には救済に関する規定がない。実際に差別があるなかで、被害者をどう救済するのか。意識調査の結果を精査し、一歩前進した施策をすすめてもらいたい」とまとめた。
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