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就職差別の撤廃求め 〜研修、実態把握など意見交換
厚労省交渉

「解放新聞」(2025.07.05-3143)

就職差別の撤廃に向けてしっかりととりくみを、と訴える安田中央労働政策運動部長(5月22日・東京)

就職差別の撤廃に向けてしっかりととりくみを、と訴える安田中央労働政策運動部長(5月22日・東京)

 厚生労働省交渉(雇用対策)を5月22日午後、省内でおこない、安田中央労働政策運動部長をはじめ15都府県連21人が参加した。省は逸見志朗・就労支援室長ら5人が出席した。就職差別撤廃に向け、省職員などの部落問題研修の状況や、昨年度に全国的に初めて実施された新規大卒予定者などへの「公正な採用選考に係るアンケート調査」、採用選考でのSNS調査への対応などで意見交換した。

 「部落差別解消推進法」をふまえた研修について、省は、24の労働局が隣保館と連携しフィールドワークを実施したことや公益法人など関係団体への公正採用選考人権啓発推進員設置の推進なども報告。同盟からは、推進員研修の参加率向上など実効性のあるとりくみを求めた。企業トップクラス研修(24年度は約2万4000社が参加)に企業のトップではなく推進員が参加している実態も指摘し「内容を分析し研修を」「オンライン研修では受講実態がわからない。会場での研修も必要」などと訴えた。

 大卒予定者などへのアンケート調査については省は▽2024年4月1日から25年3月31日に無記名式で実施▽回答は1438件▽結果をとりまとめ中と報告。「今年度はいま実施中。要望を可能な限り反映して改善し、京都の先進事例も勉強しながら、より実効性のある調査にしたい」とした。

 同盟からは「京都労働局と同レベルで実施できれば数十万件の回答が回収できる。京都が悉皆(しっかい)調査に近い形で実施できたのはなぜか。大学は学生にどう周知しているか。全国の労働局の担当者がしっかり学ぶ必要がある。目的をしっかり意識づけを」などと訴えた。

 採用選考時のSNS調査については省は、事業所への24年度のアンケート調査結果を▽24年9〜10月、1446事業所に実施▽SNS調査をした事業所は2%。2%のうち15%が外部業者に委託▽取得された情報は、犯罪歴、迷惑行為、社会人として不適切な投稿、交友関係。約半数はSNS調査で得た情報はとくになかったと回答、などと報告。SNS等を利用した公表情報の収集でも「職業安定法」第5条5項と「指針」、配慮すべき14事項を遵守する必要がある、とし、「実態把握に努めるとともに、さまざまな機会をとらえて注意喚起したい」とした。

 同盟からは▽SNS調査のこれ以上の常態化を防ぐため、省の特設サイトなどに明示し「推進員設置要綱」や事業主への「推進員選任について」にも明記を、と要求「「本人の能力、適正以外の情報収集はダメ」が公正採用選考の大原則」「アイビー・リック差別身元調査事件を受け「職安法」を改正した。SNS調査は、さらに現代風のやり口。長年の就職差別撤廃へのとりくみがあっという間に元に戻る危険性がある」などと訴えた。

 「統一応募用紙」改定(25年度卒業予定者から適用)については、同盟から「履歴書」の性別欄を削除した社会的影響の大きさを指摘するとともに、なぜ削除したかを説明する重要性を強調。教員記入の「調査書」に性別欄が残っている問題への見解、対応も求めた。

 一般求職者用の「履歴書様式例」については省は▽24年度の認知度は45・7%(1446事業所に調査)▽周知・徹底へ経済業種別438団体への要請文を局長が3月に発出▽ブロック会議などで労働局にも周知を指示、などを報告した。

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