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人権条例の必要性を強調〜福井県、県内市町と意見交換
福井

「解放新聞」(2025.07.15-3144)

人権条例制定に向けたとりくみの強化を訴えた(5月27日・福井県福井市)

人権条例制定に向けたとりくみの強化を訴えた(5月27日・福井県福井市)

 【福井】 県と県内市町との意見交換会を5月27日午後、福井市内のAOSSA(アオッサ)で開催した。昨年5月にはじめてひらかれた会合の内容をふまえて、各市町のとりくみ報告を受けた。福井県連から山下敬太郎・委員長、田中筆一・副委員長、河合徹・書記長が、中央本部から安田、大西両中執が出席。県からは、大南祐之・地域福祉課課長、大西典宏・人権室長、志尾武章・生涯学習・文化財課課長と、県内嶺北地域10市町の県市町人権教育・啓発連絡協議会の担当者が出席した。

 山下委員長は、昨年にひき続き「人権条例」の制定実現に向けた検討を要請。とくに、県が実施した人権意識調査の結果を市町がきちんと分析していくことが重要であることを強調した。さらに、インターネット上での差別情報や人権侵害情報への対応もしっかりとすすめてほしいと要望した。また、差別身元調査を防止するためにも、本人通知制度の導入が必要だと訴えた。つづいてあいさつした安田中執は、「「部落地名総鑑」事件発覚から50年という節目の年であり、人権の確立に向けたとりくみがすすんできたが、国内外の今日的な人権をとりまく状況のなかで残された課題も多い。人権条例の制定に向けて真剣に検討してもらいたい」と要請した。

 各市町からは、人権条例については制定自治体など先進事例を研究している段階との説明が多く、インターネットのモニタリングについては県から、県内17市町のうち13市町で実施中、本人通知制度については6市町が導入していることが報告された。モニタリングの実施状況については各市町から、差別書き込みを発見し県や法務局に報告した事案はないことが報告された。

県実施の人権意識調査活かして

 同盟側からは、本人通知制度に関わって、県内でも過去に戸籍等不正取得事件が発生したことをふまえた市町の人権担当課と戸籍を扱う住民窓口の連携の再確認を要請。県にたいしては、担当者の勉強会や情報交換などの制度導入に向けたリーダーシップを発揮することが必要であると強調した。また、2022年に県が実施した「人権問題に関する県民意識調査」についても、各市町でも結果を精査し施策に活かすとりくみを訴えた。

 さらに河合書記長から、「まちづくり条例のように、住民の身近な人権条例となるよう検討してもらいたい。すべての住民の権利を守るという姿勢でモニタリングや本人通知制度の実現していくことが重要。人権条例制定の実現へ前向きなとりくみをすすめてほしい」と要望した。山下委員長は、「県意識調査では5割以上の県民が「部落差別はある」と回答している。教育や啓発がますます重要であることをしっかりふまえてもらう必要がある。さらに被害救済の課題などもある」と訴え、あらためて人権条例の制定を要請した。最後に大西中執からは、「安全安心のまちづくりをおこなうことが行政のひとつの大きな目的。その施策の中心になるのは「人権」で、人権条例制定は重要な課題であることを共有したい。人権を尊重する市町の姿勢を住民に示すことも行政の大きな責務であり、しっかりと条例実現に向けて、とりくみをすすめてもらいたい」とまとめた。

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