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狭山再審、「再審法」改正求める声を届けよう

「解放新聞」(2026.6.15-3178)

 狭山事件の第4次再審請求が係属している東京高等裁判所第4刑事部の家令和典・裁判長が定年退官し、3月18日付けで担当裁判長が交代した。

 後任の裁判長には、最高裁調査官、東京地裁判事、名古屋高裁判事、名古屋地裁、千葉地裁の裁判長などを経て、水戸家裁所長だった、前田巌・裁判官(43期・60歳)が就任した。また、4月1日には、主任裁判官の佐脇有紀・裁判官が転勤し、野澤晃一・裁判官に交代した。東京高裁第4刑事部の狭山事件の担当裁判官は、前田裁判官(裁判長)、安藤祥一郎・裁判官、野澤裁判官(主任裁判官)の3人である。

 3月31日に東京高検の検察官は意見書を提出した。検察官意見書は、筆跡・脅迫状をはじめ、血液型、足跡、スコップ、目撃証言、鞄、万年筆、自白など、弁護団が提出した新証拠、主張すべてにたいして、「反論」をのべたうえで、鑑定人らの証人尋問の必要性はなく、すみやかに再審請求を棄却すべき、という不当な内容だ。

 弁護団は、検察官意見書にたいして徹底的に批判、反論していくとともに、東京高裁第4刑事部に、証人尋問の実施、再審開始を求めていくことにしている。

 5月19日、狭山事件第4次再審請求の4回目の三者協議がおこなわれた。東京高裁第4刑事部の前田新裁判長、主任裁判官、東京高等検察庁の担当検察官3人、弁護団からは、竹下政行・事務局長をはじめ8人の弁護人が出席した。この日の協議で、次回の三者協議を7月中旬におこない、弁護団のプレゼンテーションを実施することが決まった。

 わたしたちは、石川早智子さんによる第4次再審を全力で支援し、石川一雄さんにたいする再審無罪判決を実現し、なんとしても石川さんのえん罪を晴らさねばならない。あらたな裁判官のもとで、鑑定人の証人尋問が実施され、再審開始が実現するように、各地で、狭山第4次再審闘争勝利に向けた集会や街頭宣伝にとりくみ、世論を大きくしていこう。63年におよぶえん罪、石川一雄さんの無実を訴え、再審開始を求める市民の声を東京高裁第4刑事部に届けよう。

 狭山事件の第4次再審請求で、東京高裁第4刑事部にたいし、鑑定人の証人尋問をおこない、再審を開始するよう求める新100万人署名があらたにはじまっている。10か月の間に40万筆を超える署名が全国から寄せられ、これまで東京高裁に提出された。前田裁判長はこの多くの市民の声を受けとめ、再審開始決定をおこなってほしい。

 前田新裁判長に狭山事件の再審を求める市民の声をさらに届けるために、新100万人署名運動を全力ですすよう。

 「再審法」改正について、法務省は、議員立法の動きに対抗するかのように、法制審議会に諮問、法務省が選任した法務・検察寄りの委員が多数を占める再審関係部会を立ちあげ、法務省当局がまとめた要綱案(「再審法」改悪案)を委員の多数決で採択し、2月12日の法制審総会で可決、法務大臣に答申した。

 法務省当局による「再審法」案(法制審案)については、自民党内での審査で、「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」メンバーの議員を中心に批判が続出し、最終的に、検察官による再審開始決定にたいする抗告を原則禁止することを本則に入れることで修正され、5月15日、閣議決定を受けて内閣提出法案として国会に提出された。

 しかし、政府法案は、例外的に検察官が再審開始決定に抗告できる余地を残している。証拠開示についても議連法案のような再審請求人にたいする直接全面開示ではなく、裁判所への証拠提出命令であり、開示対象も限定的になっている。また、再審請求を門前払いにする事前調査規定や、開示証拠の目的外使用の禁止が新設されているなど、えん罪救済の妨げになる問題を多く残している。

 一方、5月15日に、1月の衆議院解散で廃案となった超党派議連がまとめた「再審法」改正案が、野党3党(中道改革連合、チームみらい、共産党)によって衆議院に再提出され、政府案との並行審議を求めた。

 議連法案は、再審開始にたいする検察官抗告は全面禁止であり、証拠開示についても、開示対象に限定はなく、証拠の一覧表も含めて、再審請求人・弁護人への直接開示を命じる規定だ。

 また、議連法案には、裁判所は期日の指定をするという規定も盛り込まれている。再審請求の具体的な打ち合わせをし、事実調べをする期日を指定することは必要だ。

 狭山事件の第1次、第2次再審請求では、三者協議は一度もひらかれず、事実調べもまったくなく、ある日突然、棄却決定が送られてくるという「審理」であったことを考えれば「期日の指定」の規定を設けることも重要だ。「期日の指定」の規定は政府案にはない。

 政府案と議連法案の二つの法案は、5月26日に審議入りし、現在、衆議院法務委員会での審議がすすめられている。5月29日の法務委員会では、鴨志田祐美・弁護士らの参考人にたいする質疑がおこなわれ、石川早智子さんも傍聴した。

 今後は、国会審議で政府案の問題点が徹底的に議論、修正され、議連法案の内容(検察官抗告の全面禁止、限定のない証拠開示の義務化、期日の指定など)をふまえた「再審法」改正が実現するよう、強く求めていく必要がある。

 狭山第4次再審闘争でも、「再審法」改正はきわめて重要な課題である。石川一雄さんも、検察官の不服申し立てが許されている限り、えん罪被害者はいつまでたっても救われないと「再審法」改正を訴えていた。石川一雄さんの遺志を受け継いだ石川早智子さんも、「証拠開示がもっと早くすすんでいたら」と訴え、この間、えん罪被害者のための「再審法」改正を求めて、さまざまなとりくみに参加している。

 狭山事件の再審開始、石川さんの無罪判決を一日も早く実現するためにも、日弁連やえん罪被害者、市民団体と連携しながら、真にえん罪被害者のための「再審法」改正を求める運動をひきつづきすすめよう。

 石川早智子さんを含めたえん罪被害者とその家族、弁護士、元裁判官と作家、ジャーナリスト、学者、平和・人権活動家、宗教者など、幅広い各界の人たちのよびかけにより、無実の人を救うための「再審法」改正を求める国会請願署名運動がはじまっている。狭山事件をはじめ、えん罪の現実、当事者の苦しみを受けとめ、それを立法事実として、真の「再審法」改正を国会で実現するよう求める市民の声を国会議員に届けていかなければならない。国会請願署名に全力でとりくもう。

 この請願署名は、開始から3月末までの1か月間で集約されただけで4万筆を超え、4月22日に国会に提出された。署名提出の記者会見には、石川早智子さん、鎌田慧さん、鴨志田弁護士らが出席し訴えた。署名提出集会には国会議員も参加した。

 法案審議がすすめられている現在の特別国会は7月17日が会期末だ。無実の人を救うため、署名連絡会では、国会請願署名の第2次集約を6月末として、できる限り送ってほしいとよびかけている。国会請願署名に全力でとりくもう。

 署名運動とあわせて、国会審議での政府案の修正、議連法案をふまえた「再審法」改正の実現を求めて、地元の国会議員などへの要請のとりくみも重要だ。また、えん罪救済のための「再審法」改正が必要だという国民の声を国会に示すためにも、各地方議会での「再審法」改正を求める意見書の採択もすすめよう。

(「再審法(刑事訴訟法の一部)改正を求める請願署名」の用紙は、下記リンクからダウンロードできます)

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