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「解放新聞」(2026.9.5-3186)
1974年に反差別と人権確立への貢献をめざしてこの部落解放文学賞が創設された。
「水平社宣言」の崇高な精神のもと、差別によって奪われた文字を、嘆くのではなく取り戻そうと始まった識字の営みや、光の当たらない場所で脈々と続けられてきた識字運動とその反差別の思いをつないできたことは、ほかに類を見ない素晴らしいとりくみであるといえる。
いま社会を、世界を見ると、戦争の悲惨さを悔いあらため国際的に人権を第一義に考えるべきという、かつての思いは消え去ったのかと思わせるほどの野蛮としか言いようのない自国中心主義がはびこっている。そのことによって他国の人権をないがしろにしようとする無意味な戦争がくり広げられている。それにつられるかのように日本も、世界で初めてという原爆の経験を忘れ去ろうとするような軍備拡張への動きが始まっている。
戦争をするのも人間しかないが、良心にもとづいた判断と行動ができるのも人間しかないはずである。
戦後81年を経たいまもなお戦禍の傷跡が癒えぬままにある人々が現実に私たちの周りにいる、という人間としての想像力を私たちは忘れたくないし、決して忘れてはならないと痛切に思う。
1990年に国連が定めた国際識字年は、教育の保障は国家の責任であり、個々人の責任によるものでないことを高らかに宣言している。
そして文字を獲得する営みからさらに機能的識字の概念にふれ、みずからの生きる喜びから人々とつながる力、みずからの生活を高める力、社会に役立つ力、識字の最終の目的である社会を変え得る力と教育の目的や大切さを明らかにしている。
国際識字年の考え方は、まさしく部落解放運動の原点としての識字運動の目的と合致している。この識字運動の一つとして部落解放文学賞が創設されたことは、文学の力が無限大であることも語っているとさえ思う。
近年、部落解放文学賞への作品応募が少なくなってきていることが懸念されてはいるが、一方でその質は年々高まってきているという評価もあることを大切にしたい。
さまざまな分野でそれぞれの人々の作品と思想、その軌跡が残せることを切に願うものである。今後も多くの皆さまにすそ野を広げていただき、部落解放文学賞をさらに発展させていただくことを期待したい。

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