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「解放新聞」(2026.10.25-3191)
出生率の低下、子どもの自死率の上昇なども重なり、加速する少子化のなか、こども家庭庁が発足して3年が経過した。この間、こども家庭庁は「こどもまんなか社会」を掲げ、少子化対策と子育て支援を一体的にすすめるとし、「こども大綱」や「こども未来戦略」にもとづいたさまざまな政策を打ち出している。今年4月からは、全国の自治体での「こども誰でも通園制度」の本格実施や「子ども・子育て支援金」の徴収がはじまった。12月25日には、子どもを性暴力から守るために、保育施設、学校、放課後児童クラブなどで子どもと関わる仕事をする人の性犯罪歴の確認を、事業者に義務づける制度(日本版DBS)の導入などを定めた「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(「こども性暴力防止法」)が施行される。
今年6月に公表された「こどもまんなか実行計画2026」では、こども家庭庁創設からの3年間で〝こども政策は大きく強化・拡充されてきた〟とし、〝保育士等の処遇改善や待機児童の減少等の取り組みは着実に進展したが、少子化に歯止めがかからず、小中高生の自殺者数、いじめ重大事態の発生件数等は過去最多だった〟とまとめた。また、施策として、子どものウェルビーイング(心身の健康と幸福)の実現と少子化対策を軸に据え、子どもの自殺対策の強化や安全なインターネット利用環境づくりや、仕事と子育ての両立支援をすすめること、「こども性暴力防止法」の施行に向けた体制の確保や対象事業者への支援を続けることなどを盛り込んだ。
新たな指針・要領が2027年3月に公布され、2028年4月に施行される予定だ。この〝3要領・指針〟とよばれる「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の改定に向け、見直しの方向性を示す「取りまとめ(案)」が5月29日に示された。2017年の改定以来、10年ぶりの改定となるため、文部科学省とこども家庭庁合同で昨年10月から検討が重ねられている。前回の改定時は、保育所、認定こども園、幼稚園それぞれの内容の整合性がはかられ、今回の改定でも、よりいっそうの整合性をはかるとし、今後も合同で審議し改定に向けた検討が予定されている。
今回の「取りまとめ(案)」では「遊びの深まり」という文言が新たに盛り込まれた。幼児教育の質の向上をはかるには、乳幼児にとっての「学び」である「遊び」のプロセスが、資質・能力の育成に深く結びついていく「遊びの深まり」を実現することが不可欠だと示した。また、「幼児教育において育みたい資質・能力」「3つの視点及び5つの領域のねらい及び内容」「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の関係性の整理・構造化や、〝3要領・指針〟の「ねらい」と「内容」の表形式が示された。さらに、「乳幼児理解に基づく指導と評価の実施・充実」や「ICTの活用」「インクルーシブな保育の推進」「地域体制の在り方」などの方向性が示された。「小学校以降の教育への接続を重視した、遊びが学びの手段となるのではないか」「子どもの到達度を評価する保育になるのではないか」との懸念もあるなか、現在、「取りまとめ(案)」についての意見公募がおこなわれている。子どもや保護者、保育者等の人権が損なわれるような内容にならないよう、今後の改定に向けた論議やどのような〝3要領・指針〟の改定がなされるのかに注視していかなければならない。
量から質の向上へと転換がはかられている保育政策だが、隠れ待機児童問題や認可外保育施設への対応をはじめ、外国人幼保施設・民族学校の保育施設が無償化の対象外となっている問題など、課題が山積している。今年、9年ぶりに増加した待機児童数について国は、待機児童数はピークだった2017年の10分の1以下になっているとしているが、自治体の集計の仕方の変更による減少の可能性があることも浮き彫りになっている。また、待機児童の多い都市部では定員充足率が90・9%にたいし、過疎地域では72・7%となっており、少子化によって定員割れの園が増えている地域では、保育施設の統廃合や縮小をすすめようとする動きもある。しかし、こうした状況だからこそ、配置基準を改善し、見直しをすすめることで保育の質の向上をはかる保育環境を整えることができるのではないだろうか。
人権保育運動の原点である解放保育運動は、差別を見抜き、差別を許さない子どもに育ってほしいという願いからはじまり、子どもの生きる権利として、成長を保障するとりくみをすすめてきた。そして、地域ぐるみの子育て運動として広がってきた。生活様式の変化や自己責任論を強める社会状況などによって人間関係の希薄化がすすむなか、子どもの人権を尊重することを基本にし、皆保育の原則を位置づけてきた解放保育の理念が、いま、まさにすべての子どもたちにとって必要不可欠なものとなっている。
11月14、15日の2日間、第47回全国人権保育研究集会を和歌山県和歌山市内で開催する。全体会では、近年、子どもの心や社会性を育む教育として注目されている「SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)」の普及にとりくみ、日本レジリエンス教育研修センターの立ちあげから、日本の教育現場に合わせた幼児の子ども向けSELプログラム「くまのこプログラム」を開発された、一般社団法人日本レジリエンス教育研修センターの西田千寿子・代表理事から「「幸せな子ども時代を過ごすために」~これからの社会を生きるために必要なこと~」と題して講演いただく。講演をとおして子どもたちに必要なこと、わたしたちにできることを参加者で共有し、これからの保育のとりくみにつなげよう。2日目は、八つの分科会にわかれ、各テーマに沿った各地の実践報告や学習講演をおこなう。
子どもの「最善の利益」を考え、すべての子どもたちが0歳からの全面発達が社会的に保障されるとりくみをすすめてきた解放保育・人権保育運動の果たす役割の重要性を再確認しよう。そして、家庭や地域、保育所・幼稚園やこども園、小・中学校、行政、企業、関係機関や団体が一体となり、各地の子どもの状況や課題を共有し、地域・社会全体ですべての子どもの豊かな育ちを保障し、すべての人がともに学び合い、育ち合える保育を創造しよう。

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