「東京高裁に狭山事件の再審を求める集い」決議(2000.7.7)


集会決議

昨年の東京高裁第四刑事部・高木裁判長による抜き打ち的な再審請求棄却決定から一年を迎えた。わたしたちは、あの日のくやしさを忘れることはできない。わたしたちは、怒りをあらたに、狭山事件の一日も早い再審開始を求めて今日ここに集まった。十三年間におよんだ第二次再審請求の審理において、弁護団は数多くの新証拠を提出し、鑑定人尋問などの事実調べを再三にわたって求めたが、東京高裁は、一度の事実調べもおこなわず、再審請求を棄却した。棄却決定は、筆跡の違い、国語能力の違いを明らかにした大野鑑定や神戸鑑定、石川さんの指紋がないことの疑問や脅迫状の筆記用具が自白とくいちがうことを明らかにした元鑑識課員の齋藤さんの鑑定など、専門家による鑑定書について、鑑定人の尋問もおこなわず、「筆跡の相異は書くときの環境によるもので筆者の相異ではない」「石川さんにはある程度の国語能力があったから脅迫状を書けた」「指紋は必ず検出されるとは限らない」などとして、一方的にしりぞけている。
 事実調べをおこなわなかった棄却決定は、その内容においても不当・デタラメである。石川さん宅から押収され被害者のものとして有罪証拠とされた万年筆の在中インクが被害者が使っていたものと違うという重大な矛盾についても、「違うインクが補充された可能性も考えられなくはない」として弁護側の主張をしりぞけている。高木裁判長は、「こうも言えなくはない」「このような可能性もある」といった、勝手な推測と可能性の論理で、再審請求を棄却したのである。国民世論に背を向け、「再審の理念」も「刑事裁判の鉄則」もふみにじった、高木裁判長による棄却決定を、わたしたちは絶対に認めることはできない。弁護団と石川さんは、棄却決定の取り消しと再審開始を求めて、ただちに異議申立をおこなった。わたしたちは、マスコミや文化人もふくめた棄却決定批判の声、意見広告の掲載、住民の会の広がりをバネに、異議審の闘いを全力ですすめよう。
 また、東京高検の検察官は、積み上げれば二メートルにもおよぶという多数の未開示証拠と証拠リストを手元に持っていることを認めながら、いまだに証拠開示におうじていない。しかも、つぎつぎと担当検事が交代し、前向きに弁護団の要請にこたえようとしておらず、きわめて不誠実・不当な姿勢である。まったく証拠が開示されないまま再審請求が棄却されたことは極めて不公平・不公正といわねばならない。わたしたちは、弁護側に証拠開示を保障するよう日本政府に求めた国連の勧告もふまえて、東京高検に証拠開示を求める声をもっともっと大きくしていこう。
 石川さんが無実の罪で逮捕、でっちあげられて37年。棄却決定に屈せず、早智子さんとともに、「えん罪を晴らすまで何十年かかろうとも闘い抜く」という石川さんの決意にこたえ、一日も早く「見えない手錠」を解かねばならない。
 わたしたちは、狭山闘争を部落解放をめざし、あらゆる差別と人権侵害に反対する幅広い共同闘争として闘ってきた。その意義を再確認し、司法の反動化、排外主義の強まるいまこそ、司法の民主的改革と平和・人権・民主主義を擁護・発展させる反差別共同闘争をすすめ、狭山の闘いと結合させていこう。
 狭山事件は部落差別が生んだえん罪である。わたしたちは、「一人は万人のために 万人は一人のために」を合言葉に、三十七年もの長きにわたって、無実を叫びつづけている石川一雄さんとともに、再審―無罪をかちとるまで闘うことを、ここに確認する。異議審の闘いで事実調べと全証拠開示を実現し、狭山第二次再審闘争の完全勝利をかちとるまで断固闘うものである。

二〇〇〇年七月七日

東京高裁に狭山事件の再審を求める集い参加者一同