石川一雄さんメッセージ
第3次再審100万人署名の早期達成に向け
各地で署名活動のとりくみを強化しよう
「解放新聞」(2006.10.30-2292)

 10.31を中心とした各地での集会や街頭署名活動などのとりくみ、10.31市民集会および都内一斉街頭署名活動のとりくみに向けた石川一雄さんのメッセージを掲載する。狭山再審闘争勝利へ、早期に100万人署名を達成できるよう運動を各地から積みあげよう。

 正義が断罪される社会の中にあって、なお且つ法を信じ、43年以上も不屈に闘っている石川一雄にエールを送りつづけて下さっている全ての支援者各位に心から深く感謝の一文をお届け致します。
 字数との関係で長文化出来ませんが、私は途轍もない長い年月、獄中での勉強を通して一冤罪者として、法律の中で、「自由心証主義」なる条文の危険性に何度自問自答したかわかりません。言及するまでもなく、狭山事件は多くの疑問が存在しており、従って現今迄の「判決、判断」などに予断を抱く事なく、第三次再審請求申し立てを虚心に、そして真摯に精査、探究するならば、最早、寺尾確定判決の「主軸」と言われている「脅迫状」など総て崩壊している以上、机上論的なまやかしは断じて許される筈がないし、今度こそ、全支援者達が納得出来る「事実調べをする」という声が裁判長から聞かれるものと確信しつつ、連日訴え活動に精を出している訳であります。
 私自身は今迄の各裁判官達が主観的な心証を客観的な証拠の上におくという態度こそ「予断」が、其の根本にあると思えてならないので、「自由心証主義」の欠陥を指摘したわけです。
 特に本審を「最後」と位置付けて踏み出したからには、本当に、この第三次再審で「終結」にしたいものでありますし、とりわけ、心強い味方(みかた)は科学の進歩であります。確かに狭山闘争は何度も敗退を余儀なくされている現実を見れば、先行きの不透明は否めないまでも、前述の様に、その様な厳しい闘いの中で、弁護団の血の滲むような努力と科学の力に依って、私の無実性が証明されたのも事実です。其れが元栃木県警の斎藤氏、元大阪府警の奥田鑑定人ら三名の元鑑識課員による鑑定であるわけです。
 然し乍ら最高裁はそれらの科学の本質も機能も理解しようとせず、暴論の棄却攻撃に打って出てきたからこそ、一層心を引き締めなければならないと自分を戒めているんですが、戦前なら兎も角、現行法では、不利益再審の廃止と共に、「再審の理念、無事の救済」の観点からも、本審の第三次再審請求審では、絶対的に法廷闘争に持ち込む必要があるんです。
 元より全国の兄弟姉妹達は、「石川命はわが命」として、常に先頭に立って闘って下さっておりますし、他方、労働者、宗教者、住民の会、学生、及び一般大衆の方々も「公正な裁判」を求めて闘う中で、先般下した司法に対して不信感と糾弾闘争にご協力下さっていることもよく存知(ぞんじ)ており、何時も感謝の念で一杯ですが、狭山闘争の「差別裁判糾弾」の闘いが発展しつつあることに恐怖したが故に、司法の府としてあるまじき不当極まる棄却に出たのでありましたが、然し、権力がどの様な装飾をもって「確定判決」を「擁護、維持」しようとも、真実を闇に葬ることはできません。いや、むしろ、火に油を注いだ如く、怒りの追撃は増々(ますます)強くなり、国家、司法権力が力で正義を切ろうとして打ち下した刀をそのまゝ権力に返さねばならないと、私もとことん闘い抜く所存であります。
 部落民の私を犯人にデッチ上げた張本人の断罪をもって私への謝罪と考えております。どうか、本集会に決起下さった皆さんも三次こそ私の身に光があたりますよう更なるお力添えを賜りたく再度心からお願い申し上げて、私の感謝の言葉と決意のこ挨拶に代えます。ありがとうございました。

二〇〇六年十月三十一日
石川一雄
寺尾不当判決32ヵ年糾弾
第3次再審実現決起集会参加ご一同様