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<月刊「狭山差別裁判」305号/1999年5月>

東京高裁は検察官に証拠開示命令をおこなえ!
証拠リスト開示、事実調べ実現し再審を開かせよう!

 弁護団はさる三月の東京高裁・高木裁判長との面会で、正確に復元された石川さん宅勝手場のカモイの検証および指紋に関する元警察技師の奥田鑑定人の証人尋問を求めた。万年筆については、第二次再審請求で、元狭山警察署刑事の「捜索時にカモイに手を入れてしらべたが万年筆はなかった」という新証言も明らかになっており、指紋がないことやインクが被害者使用のものと違うこと、あるいは万年筆にかかわる自白の不自然さや食い違いをふくめて、自白の信用性を支えるものと言えるのかどうか、合理的疑いがないかどうか、総合的に評価されなければならない。
 とくに、カモイの検証は寺尾裁判長もやらなかったことである。そして寺尾判決は、「前二回の捜索でカモイをしらべていた」という六造さんら家族の証言を否定し、警察官の証言を一方的に信用できるとする、きわめて不公平な判断をおこなっている。予断をもった証拠評価と言わねばならない。万年筆の問題について、ある現職の裁判官は法律雑誌掲載の論文において、「前二回の捜索の際の状況につき詳細な証拠調べを経た上で、問題の鴨居から万年筆が発見されなかった点について、捜査官から納得すべき説明がなされることが不可欠ではないかと思われるが、原判決(寺尾判決)にも、その間の事情は詳しく判示されていない。本判決の指摘する『鴨居の高さや奥行』だけでは、やや説得力に欠ける恨みがあるように思われる」と指摘している。寺尾判決のように「カモイは背の低い人には見えにくい」という判断が誤っており、警察の二度の家宅捜索で見落とされたということが考えられないことは検証すれば明らかである。復元された勝手場・カモイの検証は不可欠である。
 弁護団は、三月にも東京高検の會田検事と証拠開示の折衝をおこなった。東京高検の検察官の手元にかなりの分量の未開示証拠資料があることは會田検事も認めている。再審請求は新証拠の発見を理由としており、検察官の手持ちの資料にその可能性がある以上、証拠開示は再審制度の理念からしても不可欠である。公正・公平な再審請求の審理手続を保障することは裁判所の責務であり、実際にこれまでも多くの再審請求で裁判所が証拠開示の勧告をおこない、証拠開示がなされた例は多い。昨年の国際人権B規約委員会でも、日本政府代表の酒井・法務省参事官は「裁判所の開示命令があればそれにおうじている」と答弁している。東京高裁の高木裁判長はただちに検察官に証拠開示の勧告・命令をおこなうべきである。
 きたる五月二十一日には、石川一雄さんの不当逮捕から三十六カ年をむかえて、中央集会を開催するとともに、東京高裁、東京高検にたいする要請行動、情宣活動を実施する。各地においても、気をゆるめることなく、闘いの強化をはかろう!
 とくに住民の会結成をおしすすめ、事実調べ-再審、証拠開示の声をさらに市民に広げていこう!カモイの検証、鑑定人尋問などの事実調べ、証拠開示勧告を高木裁判長に求めるハガキを全国各地から集中しよう!


月刊狭山差別裁判題字

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