<月刊「狭山差別裁判」307号/1999年7月>

東京高裁は提出された新証拠の事実調べをおこなえ!
鑑定人尋問、カモイの検証をただちにおこなえ!

 さる6月10日、弁護団は東京高裁に新証拠を提出した。提出された新証拠は、元警察鑑識課員である齋藤鑑定人による鑑定書で、まず第一に、封筒に書かれた「少時様」のうち「少時」の部分が万年筆で書かれているという事実を新たに発見、指摘している。石川さんの自白では脅迫状は犯行前に自宅でボールペンで書いたことになっており、この新事実は自白の重大な矛盾を明らかにするものである。齋藤鑑定は、さらに、脅迫状と封筒に軍手と見られる手袋の痕跡が認められるという新事実も指摘している。石川さんの自白では手袋の使用は否定されており、手袋痕の存在は第一の指摘とあわせて、自白の矛盾を決定的にするものである。また、齋藤鑑定は、30年近く警察で指紋検査をおこない、現在も指紋鑑定事務所を開業している専門知識と経験にもとづいて、脅迫状および封筒から石川さんの指紋がまったく検出されていないことは石川さんが脅迫状に触れていないということ以外に考えられないと指摘している。これら齋藤鑑定の指摘する三つの点を総合的に見れば、脅迫状を書いて届けたとする自白の犯行ストーリーは完全にくずれたというべきである。
 脅迫状に関しては、訂正箇所の筆記用具が自白ではボールペンであったが鑑定の結果万年筆であることが二審で判明した。寺尾判決は、この点について、石川さんがウソの供述をしているとした上で、犯行後、雑木林で被害者の万年筆を奪って脅迫状を訂正したと認定し、この重大な自白と客観的事実との食い違いをごまかしたが、今回の齋藤鑑定が指摘した封筒の「少時」の部分が万年筆で書かれているという新事実は、自白とも寺尾判決の認定したストーリーとも相いれない。
 脅迫状をめぐっては、再審段階で、訂正前の日付が自白では「4月28日」であったが赤外線写真撮影で「4月29日」であることも判明した。そもそも、脅迫状に関わる自白には、用紙に使われたノートも脅迫状を書くときに手本にしたという漫画雑誌『りぼん』も石川さんの家になかったなど客観的事実との食い違いが多数存在する。これら自白の数多くの矛盾や脅迫状と石川さんの筆跡・筆記能力の違いともあわせて評価すれば、脅迫状と石川さんの結びつきは完全に否定され、石川さんの無実は明らかであり、再審開始は不可避である。
 弁護団は新証拠の提出とともに鑑定人の尋問を強く求めている。今回の新証拠の提出を受けて、わたしたちは、さらに東京高裁に事実調べ−再審開始を求める闘いの強化をはかる必要がある。つねに気をゆるめることなく、新証拠の意義と事実調べ−再審開始の必要性を広く市民に訴えていかなければならない。
 さる六月には、北海道ではじめての狭山・住民の会が結成された。長野県では県内の住民の会の連絡会を結成し、さらに、住民の会を広げる取り組みをすすめている。全国各地で石川さんの無実を市民に広げ、住民の会結成をすすめよう!
 齋藤鑑定人をはじめ指紋や筆跡に関する鑑定人の尋問を求める要請ハガキを東京高裁にどんどん送ろう!


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