<月刊「狭山差別裁判」316号/2000年4月>

補充書提出をうけて事実調べー再審を求める声を強めよう
不当な証拠隠しを許さず、証拠開示を徹底して訴えよう

 さる3月31日、弁護団は東京高裁第五刑事部の高橋省吾裁判長に面会し、異議申立補充書と新証拠を提出するとともに、事実調べを強く求めた。こんご東京高裁の判断がいつ出されてもおかしくない緊迫した状況にはいる。当面の取り組みとして、石川さんが不当逮捕されて37ヵ年をむかえる5月23日に中央集会を開催するが、異議申立から1年が経過するこの夏まで気をゆるめることなく、各地でも棄却決定批判の学習・教宣活動を強化し、東京高裁・高橋裁判長に事実調べ・再審開始を求める世論を大きくしていこう。
 弁護団は3月3日には、東京高検の検察官と折衝し、具体的に証拠開示を求めたが、担当検事は開示に応じておらず、証拠リスト開示も拒否するなど姿勢は反動的である。これまでの再審事件の教訓からしても、再審制度の理念・趣旨からしても再審請求において全面的な証拠開示は不可欠であり、検察官の義務であり、東京高検は、ただちに証拠開示に応じるべきである。今回の折衝でも、東京高検の検察官の手元に2メートルもの未開示証拠があることは認めており、それらをまったく開示しないなどということが不当・不公平であることは明らかである。検察官の証拠隠しの実態を国民に明らかにし、徹底して証拠開示を訴えよう。東京高裁、東京高検にたいする要請ハガキ運動を各地で展開しよう。
 さる3月16日、仙台高裁は、再審で無罪が確定した松山事件の国家賠償請求を棄却した。松山事件でも証拠開示が再審の大きなカギとなった。弁護側は、検察官の証拠不開示の違法性を主張したが、裁判所は検察官の責任を認めなかったのである。証拠の不開示だけでなく、えん罪を生んだ自白偏重の捜査、代用監獄での取り調べ、誤った捜査側の鑑定を反省材料にしようという姿勢もない不当判決である。また、3月13日には、狭山事件と同じ年におきたえん罪死刑事件である波崎事件の再審請求を東京高裁が棄却した。さらに、昨年暮れに再審請求中の死刑執行をおこなったことについて、臼井・法務大臣は、先般の参院法務委員会で「棄却が当然予想されるような場合は執行もありうる」と開き直った発言をしている。裁判所の判断が出される前に法務省が勝手に棄却を予想できるなどということは再審制度の建前さえ否定する暴言である。国際的な人権の基準・考えにまったく逆行している法務省の反動的な姿勢を示すものであり許されない。わたしたちは、こうした再審や司法をめぐる状況のきびしさを見すえ、それを突破する闘いをはばひろく作り上げながら、狭山闘争をすすめなければならない。
 一方で、この間、組織的な証拠隠しやねつ造など警察による「不祥事」がつぎつぎ明らかになる中で、愛媛では、警察が逮捕し、犯行を自白したとして検察が起訴し、1年あまりも拘置されていた人が無実であったことが判明し、判決直前に釈放されるということが愛媛でおきている。同様の誤認逮捕は埼玉県警でもあったばかりである。石川さんがされたように、逮捕して代用監獄に勾留・取り調べ、自白させるという警察のやりかたがえん罪を生むと言われつづけながら、いまだにその構造が変わっていないことをしめしている。わたしたちは、こうした問題を狭山と結びつけ、えん罪を生み出す構造を批判し、訴えを広げていくことが必要なのである。


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