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<月刊「狭山差別裁判」318号/2000年6月>

意見広告を活用しよう! 住民の会をさらに広げ、様々な手段を工夫、駆使して狭山再審を市民に訴えよう

 石川一雄さんが部落差別のなかで予断に満ちた見込み捜査によって不当逮捕されて37年を迎えたさる5月22日の朝日新聞に、昨年結成された「狭山事件の再審を求める文化人の会」による意見広告が掲載された。文化人の会の事務局には、電話、ファックス、電子メール、手紙で、「同一の筆跡とは考えられない」「狭山事件のことをもっと知りたい」といった感想や意見が多数届けられ、大きな反響をよんでいる。狭山事件をあまり知らなかった人もふくめて、全国でじつに多くの人がこの意見広告を見たはずである。狭山事件にたいする関心が高まっているいまこそ、各地でこの意見広告をいろいろなところに掲示したり、23デーの情宣のときに展示したり、印刷して配布するなど、さまざまな方法で活用することが重要である。一人ひとりがこの意見広告を持って、これを材料にして多くの人に狭山事件の話をすることもできよう。意見広告と両面で再審請求の無実の証拠や証拠開示の問題などを印刷したビラを作ることもできる。狭山の真相を広げるために意見広告を活用しよう。
 今回の意見広告が指摘し多くの人に考えてほしいと訴えているのは、当時の石川さんと脅迫状の筆者では国語能力に格差があり、石川さんが脅迫状を書いたとすることには、誰もが感じる疑問(合理的疑い)があるのではないかということである。
弁護団が先般提出した新証拠も、筆跡が違うこと、指紋がないこと、脅迫状作成・犯行手順が自白とも確定判決の認定ともくいちがっていることをあきらかにしており、総合的に評価すれば、証拠の主軸とされた脅迫状と石川さんとの結びつきが完全に断たれたことを意味する。しかも、いずれも市民常識としてわかりやすく誰もが納得できることである。わたしたちは、脅迫状をめぐって石川さんの無実を示すたくさんの証拠――筆跡の違い、指紋の不存在、自白の矛盾――を学習し訴えていこう。
 5月23日に開かれた不当逮捕三十七カ年糾弾の中央集会には、北海道で2番目の住民の会である札幌圏住民の会や沖縄で近く結成される沖縄県住民の会準備会の代表も参加しアピールをおこなった。意見広告を活用し、狭山事件やえん罪、人権の問題について多くの市民の関心が高まっているいま、さらに狭山再審支援の輪を広げていくために、住民の会をもっと各地で作っていくことが重要である。あいつぐ警察不祥事、誤認逮捕事件、裁判官の差別発言などは、いまなおえん罪が跡を絶っていないし、市民一人ひとりが無縁ではなく、えん罪や司法と人権の現状を考えなければならないことを示している。そのような視点をもちながら、市民的な支援の声を大きくしていこう。   
 中央集会で石川さんは、全力で異議審闘争を闘う決意を述べ、早智子さんは支援を訴えるために自分のホームページを開いたことを報告した。各地の住民の会でもホームページを開いたり、さまざまな工夫をこらして一人でも多くの人に狭山の真相、石川さんの無実を訴えている。意見広告への感想を見ると、狭山を知らない人がまだ多くいることも示している。再審をめぐる状況がきびしいことも忘れてはならない。棄却決定に屈することなく、全力で無実を叫んでいる石川一雄さん、早智子さんの決意、思いにこたえて、わたしたち一人ひとりが、あらゆる手段を駆使して狭山再審を訴えることが必要なのである。全力で異議審闘争をおしすすめ、事実調べと証拠開示を実現しよう。


月刊狭山差別裁判題字

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