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<月刊「狭山差別裁判」324号/2000年12月>

東京高裁は棄却決定を取消し再審を開始せよ
東京高検はただちに証拠開示をおこなえ

 さる十一月八日、狭山弁護団は、九月に足跡に関する鑑定書を提出した山口、鈴木両東大助教授とともに東京高裁をおとずれ、高橋裁判長と面会。高橋裁判長は、山口、鈴木両鑑定人から提出された鑑定について説明を聞いた。
 山口・鈴木鑑定は、3次元スキャナを用いて、現場足跡石膏の形状全体を立体的に計測した結果、現場足跡がきわめて不明瞭で、押収地下足袋との形状の類似性、とくに「破損痕」の一致を論じられるような証拠価値がないことを明らかにしたものである。また、山口・鈴木鑑定は、「破損痕」が一致するとした埼玉県警の関根・岸田鑑定の足跡石膏型の平面写真による比較方法と結論の問題点を指摘している。
 今回の面会で、山口、鈴木両鑑定人が、こうした鑑定の内容を、添付したビデオや写真をもとに、高橋裁判長に具体的に説明したことの意義は大きい。脅迫状については、筆跡の違い、自白の不自然さ、矛盾を明らかにする新鑑定が提出されている。確定判決で有罪証拠とされたものに、合理的疑いが生じているのであるから、東京高裁は山口・鈴木鑑定をはじめとする新証拠を総合評価し、ただちに再審を開始すべきである。
 弁護団は、東京高裁にたいして、新鑑定の提出を積み重ね、事実調べ・再審開始を強くせまっており、これをバネにして、さらに棄却決定批判の声を大きくし、闘いを一層強化しよう。
 さる十一月二十日に、司法制度改革審議会は中間報告を発表したが、そのなかで「国民の期待にこたえる刑事司法の在り方」として、「刑事裁判の充実・迅速化のために」「検察官による証拠開示の拡充」が必要とされ、証拠開示の「時期、範囲、裁判所の役割などを法令で明確化する必要」が指摘されている。
 司法改革のなかで検察官による証拠開示を拡充する必要性が指摘されたことは重要である。司法制度改革審議会は答申にあたって、さらに、現実のえん罪・誤判の実態に十分目を向け、人権擁護とえん罪防止、誤判救済を視点にいれた司法改革がすすめられ、とくに弁護側への証拠開示の公正化が早急に確立されるることを要望したい。そのためにも、死刑確定者が無罪となった再審四事件をはじめとするこれまでのえん罪・誤判の真摯な反省と教訓をふまえるべきであろう。とくに、再審無罪事件の多くが、証拠開示が新証拠発見につながり、誤判救済のカギとなったことを教訓にすべきである。また、国際人権規約委員会の勧告を十分ふまえるとともに、実際の誤判事件を教訓として検察官の証拠開示義務化を確立したカナダなどの例に積極的に学ぶべきである。
 愛媛の誤認逮捕起訴事件のように、虚偽自白によるえん罪がいまもおきていることを見逃してはならない。あいついだ警察の不祥事も考えるとき、えん罪・誤判防止のために被疑者の公的弁護制度の確立はもとより、国連からも勧告されているように、警察での取り調べの可視化、適正化の確保や代用監獄の廃止、あるいは、裁判官をふくむ司法関係者の人権教育推進などが司法改革のなかですすめられるべきであろう。
 わたしたちも、新証拠や証拠開示、司法改革の問題などについて学習を深め、住民の会など市民的な運動をもっとひろげるとともに、えん罪防止、証拠開示公正化を求める市民の声を司法改革審議会へも届けていこう。

月刊狭山差別裁判題字 

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