<月刊「狭山差別裁判」330号/2001年6月>

異議審最大の山場を全力で闘おう
新証拠を徹底して市民に訴えよう

 狭山弁護団は、四月二十五日、齋藤第三・柳田鑑定書を東京高裁第五刑事部に提出した。この鑑定は、元栃木県警鑑識課員で指紋鑑定士の齋藤保鑑定人が、刀剣製作・鑑定を本業とする柳田律夫・鑑定人との共同鑑定として、多方向から撮影した写真データをコンピュータを使って処理し、抹消された文字や掻き消された文字を判読したものである。その結果、脅迫状の封筒の「少時」周辺の筆圧痕に「2」「女」「死」の抹消文字、脅迫状本文上の掻き消し痕跡部分に、掻き消された背景に「女」「林」「供」「八」「二」の文字が見られるとしている。柳田鑑定人は工学博士であるとともに、コンピュータソフトを使って、専門知識に裏付けられた読解力によって、錆びて判読不明となった刀剣の銘や年号を判読する刀剣鑑定、筆跡鑑定の実績を持つ鑑定人である。封筒の筆圧痕が紙のシワなどではなく、万年筆で書かれた文字であることが判明したことは重大である。
 弁護団は、第二次再審請求において、齋藤第一鑑定、齋藤第二鑑定を提出し、脅迫状・封筒から石川さんの指紋が検出されていないことは石川さんが触れていないこと以外に考えられないこと、自白には出てこない手袋(2種類の軍手)の痕跡が見られること、さらに、「少時」が万年筆で書かれていること、「少時」周辺に多数の筆圧痕が存在すること、封筒上の被害者の父の名前が犯行日以前に万年筆で書かれていることなど、多くの疑問点を指摘した。今回の新鑑定で、脅迫状・封筒について自白では説明のつかない痕跡がさらに発見されたことになり、これまで明らかにされた点とあわせて、脅迫状と石川さんとの結びつきは断たれているといわねばならない。多数の専門家による筆跡鑑定が指摘する筆跡の違いと齋藤第一、第二、第三・柳田の各鑑定書とを総合的に評価すれば、石川さんが脅迫状を書いたのではないことは市民常識として明らかであろう。
 弁護団は、さらに五月一、二日に狭山現地で自白の不自然さを確認する再現実験を公開でおこなった。自白にあるような脅迫状作成や封筒の記載をおこなうと対照可能な指紋が検出されることが石川さん本人による実験によってはっきりと確認された。これまでの弁護側の主張の正しさを証明するとともに、「指紋は必ず検出されるとは限らない」として弁護側の主張をしりぞけた棄却決定の誤りは明らかである。弁護団は、実験に立会い指紋検出をおこなった齋藤保さんによる鑑定書を五月三十一日に提出した。
 弁護団が異議審で提出したこれら八通におよぶ新鑑定によって、確定判決が証拠の主軸とした脅迫状、足跡について、棄却決定の誤りと確定判決の認定に対する合理的疑いが明らかとなっている。棄却決定取り消し、再審開始は避けられないといわねばならない。東京高裁第五刑事部の高橋裁判長は、弁護側の補充書提出を六月四日までと区切ってきた。六月以降いよいよ判断に入ると考えられる。異議審は最大の山場をむかえた。
 わたしたちは、新証拠の学習をすすめ、集会やビラ情宣など教宣活動を強化しなければならない。中央本部では、リーフレットや教宣用ビデオの作成とともに棄却決定から二カ年をむかえる七月九日には東京での学習集会を開催する。各地においても、石川さんの無実をしめす新事実を市民に訴え、再審開始の世論をもっともっと広げよう。

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