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<月刊「狭山差別裁判」337号/2002年1月>

東京高裁・高橋裁判長はただちに高木棄却決定を取り消せ
鑑定人尋問・証拠リスト開示をおこない審理をつくせ

 東京高裁第五刑事部の高橋裁判長が補充書提出を締め切って七ヵ月が経過し新年をむかえた。年明け早々も気をゆるめることなく、闘いの強化をさらにはかる必要がある。
 高木棄却決定の最大の問題点は、確定判決となっている寺尾判決の認定を変更しながら、事実調べもおこなうことなく再審請求を棄却したことである。寺尾判決は、当時の石川さんが漢字もあまり知らず読み書きができなかったことを認めながら、自宅にあった雑誌「りぼん」を手本にして脅迫状を作成したと認定した。読み書きができなかった石川さんがあえて脅迫状という手段を選び、雑誌からルビをたよりに漢字を拾い出して脅迫状を書くという認定じたいが常識的に見てありえないことであるが、寺尾判決は「りぼんを見て書いた」という石川さんの自白を根拠にこれを認定したのである。筆跡が似ていないことや石川さんが脅迫状を書けなかったとする弁護側の主張を自白をよりどころにしりぞけ、しかも脅迫状を有罪証拠の主軸とするという構造をとったのである。弁護団は、再審段階で多くの筆跡鑑定を提出、筆跡の違いとともに、当時の石川さんには脅迫状を書けなかったこと、「りぼん」を手本にして書くということに合理的疑いがあることを立証した。ところが、高木棄却決定は、「りぼん」手本にまったく触れず、今度は、当時の石川さんは「ある程度の国語能力」があったと認定したのである。その根拠は、「仕事や社会生活の必要上、ある程度は国語能力を習得するものだ」という勝手な推測である。さらに、筆跡の違いについては、「心理的条件によって筆跡は書くたびに違う」「筆跡に相違があるからといって書いた人が違うとは限らない」と驚くべき論法を持ち出してきた。筆跡を証拠の主軸とした寺尾判決の認定事実に「合理疑い」が生じていることは明らかであろう。確定判決の認定を勝手に変更しながら、事実調べもおこなわず一方的な決めつけで再審を認めないのであれば、「確定判決に合理的疑いが生じれば再審を開始する」という再審制度は無きに等しい。しかも、自白の不自然さを証拠にもとづかぬ勝手な推測と可能性でごまかし、「事実調べ無きあらたな有罪判決」ともいうべき決定を許すならば、「無辜の救済」という再審の理念も「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則をも否定することになるであろう。高木棄却決定を認めることは、狭山事件だけでなく、再審制度ひいては日本の刑事裁判の死を意味する。数メートルにおよぶ膨大な証拠を開示しない検察の姿勢をふくめて、狭山事件の再審は、日本の社会で公正さと正義を守るのかどうかというきわめて重大な問題を突きつけているといえよう。狭山事件の再審の行方は、いま進められている「司法改革」が本当に公正・公平な裁判の実現をめざすものになるのかどうかの指標でもある。齋藤鑑定をはじめとする新鑑定によって、高木棄却決定の誤り、石川さんの無実は満天下に明らかにされている。もはや高木棄却決定の取り消しはまぬがれない。すべてはこの異議審にかかっている。わたしたちは、司法のありかたが問われているいまこそ、高木棄却決定の誤りと不当性を徹底して暴き、異議審闘争に全力を注がねばならない。何としても狭山再審勝利への道をきりひらくとともに、三十八年にわたって石川さんが無実を叫びつづける狭山事件の真相、えん罪の現実と証拠開示の問題を、市民そして国会議員に訴え、真の司法改革を推進する年にしよう。
 東京高裁第五刑事部・高橋裁判長に、「ただちに棄却決定を取り消せ」「鑑定人尋問をおこない再審を開始せよ」「証拠リスト取り寄せないしは開示命令をおこなえ」の声を集中しよう!

月刊狭山差別裁判題字 

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