<月刊「狭山差別裁判」351号/2003年3月> 最高裁はすみやかに開示勧告をおこなえ! 狭山事件再審弁護団は、二月二十六日、検察庁と証拠開示の折衝をおこなつた。折衝で東京高検の中山純一検事は、「二~三メートルの証拠が手元にある」ということは認めたが、そのなかには開示済みのものなどもふくまれ、すべてが未開示証拠ではないとした。その手持ち証拠の中味を明らかにすべきだと弁護団が求めたのにたいして、未開示のものがどれか、手持ち証拠がどういう内容のものかを調査して回答するとした。また、中山検事は昨年十二月四日に、さいたま地検、埼玉県警におもむいて、狭山事件にかかわる残っている証拠がないか確認を要請していることも明らかにし、この結果もふくめて回答するとしたという。狭山事件の証拠開示を求める世論、わたしたちのハガキ要請などによって、検察庁も何らかの回答をせざるをえなくなったといえよう。しかし、中山検事は 「二~三メートルの証拠がある」と一九九九年三月に回答した倉田検事から数えて九人日の担当検事である。これだけの回答をするのに四年もかかっている。その間の七人の担当検事は東京高検にある「二~三メートルの証拠」の中味を調べもしなかったのか。それとも調べながら弁護団に回答しなかったのか。いずれにしても、もっと誠実に弁護団の要求にこたえるべきである。また、東京高検は、証拠リストについては従来通りとして開示におうじなかったというが納得できない。これまで東京高検はプライバシー侵害の恐れなどの弊害を理由として証拠リストは開示できないとしてきた。しかし、過去に免田事件、梅田事件で証拠リストが開示されているが、そのような弊害が生じたことはない。そもそも、中山検事が手持ち証拠の内容を調査するといっているように、検察官は手持ち証拠の内容をすべて見ることになるのであるからプライバシー侵害の恐れを弁護側への不開示の理由とすることじたいがおかしい。そして、一昨年大津地裁に再審請求が申し立てられた日野町事件では、現に大津地検から弁護団に証拠リストが開示されているという最近の例もある。どうして東京高検は狭山事件の証拠リストを開示できないのか。 月刊「狭山差別裁判」の購読の申し込み先 |